それでもお話は続く?
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2004年10月24日(日) 二人分

夜が明けはじめたころ部屋に誰かがいるのにアルクは気づいた。
かぶったシーツの中から息を整えて相手の出方をみる。こんなとき息を殺せばかえって気づかれるのだ。なるべく寝息に近い呼吸を繰り返していると
「アルク、起きなさい」アークいや、語部様の声だった。
「なに?姉ちゃん。」
「これもってすぐここを出なさい。あんたが作ったチームの掟は知ってるから、日取りは繰り上げになるけど。」
「おいら、いや、俺の今後の連絡は今日くるはずなんだ。待ってくれよ。」
「馬鹿だねぇ。あんたが死んだらあたしが困るんだってば。ほかにいないじゃない。盗賊が出ようと嵐がこようと生きて帰ってこれるやつなんかさ。今までに何人も兄弟子が助手として出かけていったけど帰ってきたのなんかひと握りもいないんだからさ。あたしは今回師匠が書き上げた物語を全部覆すことしたいんだから、あんたじゃなきゃだめなんだよ。」
「俺一人じゃ無理だよ。」
「大丈夫!・・・・ビート、こっち」
「兄貴っ。おいらがいっしょにいくよ。」おいおい、、足手まといなだけだろう・・「あたしも行くよ。」この声は「ソルト!」
「あはは、死神でも見たような顔だね。あたしはあんたが逃げたのを追うって理由でついていけばいいからね。」
「店はどうするんだよ。」
「ばぁばが元気なうちは平気さ」
「さ、これが通行証。どんな国でもどんな建物でも入れる。あと、二人分は余分にある。この町から連れて行きたいものがいれば名前を言いなさい。後を追わせるから。」語部からそれぞれが通行証を受け取る。
「それから、もう一人国からの派遣で連れて行ってほしい男がいるから、その男はすでに国境を出ているはず。名前は・・・えっとジョルレ、印刷屋だわ。」
「・・・・・・・そいつ連れて行って平気なのか?」
「大丈夫じゃない。あんたの活躍をまとめるのが役目であんたのような通行証は持っていないから。」
「どこにでも入れるて言うのでなくていいから通行証をあと二人分用意できないかな。」
少し間があったが「わかった。日が昇るまでには用意してくる。準備してしまいなさい。」
「おう、頼むよ」

アークが部屋を出て行ってからいろいろ思い巡らす。
それよりもアークの前ではいい弟の振りをしていたのにさすがに姉ちゃんだと笑いがこみ上げてくる。
「だれを、連れて行くんだい?」ソルトの声で我に返る。
「ああ、その前にあの後どう決まったんだよ。」
「道々話すよ」
「じゃ、俺も道々説明する」
残りの通行証がアークから届けられたところで外に出る。ようやく一筋朝日が伸びているところだった。




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