それでもお話は続く?
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2004年10月16日(土) 継承者

『ここにわが継承者としてアーク・シェル嬢を指名する!
これよりわが物語の続きを語り書き記すことができるのはこの者のみである!!』

そう声高に新しき継承者を告げた師匠はこの世を去った。
何の指導も受けていない新弟子のあたしの名だった。

何を語れというのか、何を書き記せというのか?
師匠が語り継いできたいろいろな物語さえあたしが覚えているのはただの一編のみ

兄弟子の誰も異議を唱えることもなく誰が見ても無知なあたしはわが国唯一の語部となった。

語部になると助手がつく。自分で選ぶことも可能なのであたしはひとつ下の弟を指名した。

「ねえちゃん!すごいね!!おいらもここで働けるの!?」
「うんうん、でね、あんたの仲間も連れてきてほしいのよ。」
「え?いいの?そんなことできるの?」
「助手に人数制限ないから、あんたたち冒険好きじゃない。いろんな国に調べに行ってほしいのよ。」
「そっか、それは任してよ。いつから旅に出ようか?」
「いろいろここで準備してどこの国にもいける許可証ができてからだから1週間はかかるかな。」
「わかった。おいらも町でいろんな必要なもの探しとくよ。」
「うん、よろしくね。」

語部といってもすべてが自分で見聞きしたことでないことくらいはすでに承知している。師匠も兄弟子たちの中から何人か選んで常に旅に行くよう言いつけていた。
各地の物語を集め語り継ぐ。
それが伝説なのか本当なのか・・・あたしは語り継がれているいろんな話の真実が知りたくなった。まさか兄弟子に頼むわけにも行かず弟を選んだというわけだ。

師匠が書き上げた物語は数百に上る。いまあたしは書庫の中ですべてを拾い集めている。そして真実を知りたい物語を選定しながら新しく語り継ぐには内容が変わることもありうることを悩んでいた。


睦月みるく |MAILHomePage

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