それでもお話は続く?
Copyright (C) 2002-2012 Milk Mutuki. All rights reserved
何話が好きですか?前のお話次のお話


2004年04月27日(火) 第四話 『配達人』/第五話 『小人』

第四話 『配達人』

男は悩んでいました。
彼の場合うれしい悩みのほうですが
今年のたまごの配達人に任命されたのです。淡い黄色の封筒を開いて独り言を言いました。
「本当は花の配達人がよかったんだけどな。」と
多少の不満はありましたが配達人に選ばれるということはとても喜ばしいことでした。配達人に選ばれたことは誰にも言ってはいけません。そしてだれにたまごを配達するか決めることができます。

「あの夫婦は子供がいなかったなぁ。あ、でも確かあそこの夫婦は小さい頃になくなって寂しい思いしてたなぁ。」なんだか自分がもらえるような喜びが沸いてきました。


「おい」

先ほど配達任命書を届にきた小人がテーブルの上に立っていました。
「すまんな、あんたに渡すのこっちだったんだよ。」
こちらは淡い緑色の封筒でした。
「あ!! もうあけたのか!? あけてしまったのか…困った、困ったぞ…」
そういいながらうろうろしているけれども小人の顔は少しも困ったようではありません。
「あけてしまったら戻せないのかい?」男の質問に
「戻せるもんか!! 戻せたとしてもあいてしまっている封筒を本当の持ち主に渡せるもんか!」自分の間違いなのにえらい剣幕です。
「そうだ!あんたこのまま、たまごの配達人をしておくれよ。」
「え?ということは本当は俺が花の配達人だったのかい?」
「ああ、そうさ。この辺で花に詳しくてあんな危ない崖を上れるのはあんたくらいしかいないからな。」
「今年は崖に咲くのかい?」
「ああ、しまったまた余計なことを・・だが困ったなぁ。今年のたまご配達人は女なんだ。いくらなんでもあの崖は無理だよなぁ。」
「俺が本当は花の配達人・・・じゃ、俺が両方ってのはできないのかい?」
「なに言ってんだよ馬鹿だな。そんなことできないからおいらは悩んでるんじゃないか。」
「じゃ、その女性に会いに行って俺が謝ろう。俺は花の配達人がやりたいんだ。」
「・・・・・・・・・・・・・」
うつむいて考えているように見えた小人ですがなんだかにやりとしたように見えました。

↑エンピツ投票ボタン
My追加



第五話 『小人』

「いや、花祭りン時あいつは一人だったよ。」
「そうか?確かあいつだったと思うが。」
「いやいやそういうならあいつもだぞ。」
小さな小さな頭を寄せてこそこそ話しているそこの小人さんたち何の相談?
「ああ?今度の配達人を決めてるのさ。」
「ああ?今度は誰を恋人同士にするか決めてるのさ。」
「ああ?どうやって出会わせようか決めてるのさ。」
三人で一度に言うとわかりませんが?でも楽しい相談なんですね?
「そうさ、年に一度の一番の楽しいことさ。」
「そうさ祭りの次にな。」
「そうさご飯よりもな。」




「あ!! ご飯忘れてたぞ!!」
あらあら、三人同時に叫んでどこかへ走っていってしまいました。
おやこれは?なにやらメモ書きのようですがあまり読めないですねぇ
ふむふむ、どうやら配達人に選ばれる男女はカップルになるようですね。
では、彼は誰の心を射止めるのでしょう?


↑エンピツ投票ボタン
My追加






『童話で15題』をお借りしてきました

01:配達人
02:烏と案山子
03:王様
04:盗まれた人
05:屋根裏
06:三匹の猫
07:カード
08:小人
09:箱舟
10:三つの願い
11:クジラ
12:一輪の花
13:贈り物
14:人魚の唄
15:たまご






Copyright (C) 2002-2004 Milk Mutuki. All rights reserved


睦月みるく |MAILHomePage

My追加