ねこや  ネコヤシキ日

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2002年06月10日(月) 安楽死

深夜に、羽音がした。居間にゴキブリが飛んできたのであった。
1年に1,2度は出くわしてしまう。
古い団地なので、しかたがないのだろう。
大の苦手で、近寄れないので、別室に避難するが、
しかし、もう眠らねばならぬ。
だいいち、こやつが我が家のどこかで生存しつづけてもらっては、困る。

殺虫剤を遠巻きに振りかける。隠れて、また出てくる。振りかける。
かなり浴びたであろう、よろよろと私の机の上に落ちてきた。
困る。近寄れないのだ。
もう、今夜は、机でやるはずだったしごとは全部やめだ。
ゴキは、もうひっくりかえっていて、手足(というのだろうか)をじたばたしてはいるものの、動き回る力はなさそうだ。

しばらく遠くにいるうちに死ぬだろう、
と思って、風呂に入る。あがる。
遠くから机の方を見る。まだ、生きている。手足をじたばたしつづけている。
見なければ、もう、気配もしないし、飛んでくるおそれもないが、
死にそうにもがいている生きたモノが、いっしょの部屋に居る。
この状態で、私は寝るのか。

殺虫剤は、ヒトと昆虫の神経伝達物質の違いを利用して、彼らの神経伝達系を支障して、選択的に殺す、のではなかっただろうか。だとすると、いま、カラダが思うようにいかずに、相当に苦しいのではないだろうか。
もう、数時間。

このまま、あと数時間もするうちには、じたばたもできなくなって、死ぬのだろうが、そんなに苦しめるくらいなら、いっそ、もっと大量の殺虫剤を振りかけるか、洗剤のようなもので窒息させるか、苦しくなく死なせるほうが、いいのではないだろうか。

苦しい、という思いはあるのだろうか。

あまり眠れずに朝になった。死んでいた。

すぐに近づくことができずに、夕方まで放置した。
見ないようにして、処分した。



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