「……」頬に伝う雫が何を物語っているのか。「……ごめん」ただ、それだけを繰り返し顔を伏せる。「……」僕は何もいわない。何も――言う事が出来ない。「ごめ…ん」苦しげに繰り返されるその言葉。その先は紡ぐ事を躊躇うように口が閉ざされる。「……」「……」僅かな沈黙。そして、彼は頬を拭い決心したように告げる。「君に会えて良かったよ」それが最後の言葉だった。