ゆうべのことば

2017年04月18日(火) 遠浅の眠り

そっと唇で食んだ水は
分厚く柔でひんやりとして
寄せては返す血潮に合わせ
膨れ上がっては萎んでいく

碇の付いた腕を掲げて
空気を掬って掻き分け掻き分け
少し左に傾きすぎると
そのまま陸地を恋しく想う

私は服を着ているのだから
砂利の不快感を恐れず
足をびたんと踏みしめて
跳ねる雫にただ浸っていればいい

沁みないように瞼を閉じれば
まばたきの音が途絶え
舌の表面を風が過ぎ去って
喉まで真っすぐ抜けていく

柔らかと温かが似て
明るいと痛いが混ざり
漸く言葉を放し飼いにする
まるで孵ったばかりのように

涎がつうと垂れ
私がはみ出す
まるで還っていくかのように


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小石ゆうべ [MAIL]

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