リィリィと骨が鳴る 空を探して首をもたげてみると鳴る どうしたものかと不思議がって首を傾げてみると鳴る
ちょうど頭と体が交わるところ ざらついた岩を乗せられて 潰され 削られ 粉々になった 砂が流れる 森の奥であぶくを吐き出し続ける秘密の湧水のように
鳥たちは木の上にいる 獣たちは草の陰にいる 虫たちだけが骨の傍らに寄り添っている
小指の爪に点在する白い斑ほどのごく微かな虫たちは 薄っすら透けた甘露のごとく色の混ざった羽を震わせ 精いっぱい足を踏ん張り互いに押し合いへし合いしながら どうにか己の取り分を増やそうと必死になってもがいている
それは確かにひとつの生き物だった
うごめく集合体はやがて歪に膨れ上がって 自分たちの輪郭を作っていたはらわたを突き破り 真赤な砂をそこらじゅうにぶちまけて 月の光に照らされながら散り散りに飛んでいった
リィリィ リィリィ これでおさらば
一人分にも足りなくなった骨は手を振る事もできずに ただ音もなくないている
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