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■性欲
表層を掠るようなわずかな感情。 欲しているのはもっと奥の、根深いものなのだけれど。 届きそうで届かないことを まるで最初からわかっているみたいに あきらめたり、慄いたりしている。
欲情の突き抜けるような一直線の道筋の果てに 求めてるものが真実あったならば、たぶん こんな気持ちは知らないままでいられた。
本当は泣き出しそうなほど愛しい。
言葉に出せても出せなくても、 言葉に出来ても出来なくても、
常に僕の中を燻り続けている熱の塊は昇華なんかされない。
けれど、そんな根幹は結局のところ 上澄みを掬うように 君の表面を滑り落ちるだけだ。
蠱惑的な余韻に浸って これでいいんだって、何度も妥協をくりかえす。
深緑の闇が落ちて、 乾いた落ち葉に綯い交ぜにされて 僕の狂気のような思慕も朽ち果ててしまえばいいのに。
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