検索HPなどから飛んでこられた方へ。このページは最新です。
お手数ですが目的のものは、日付を確認の上、BNリストからお探しください。

今日の私
BNリスト昨日明日


2006年03月17日(金) 『レ・ミゼラブル』in中日(綜馬・岡田楽)超長文

レミゼin名古屋行ってまいりました。大阪も含めて唯一の遠征。
今のレミゼのために遠征するつもりはなかったけれど、
一応はと、キャスト表を前に蛍光ペンセットを持ち出して、
綜馬・岡田・駒田・シルビア・東山・田中利花(未見)が揃い
山口(or別所)を探したら、綜馬・岡田楽というイベント日発見。
ちょっとメンバー足りないけれど、絶対外せない人はいるし、
一度ぐらい行ってみるかと申し込んでみたら、とても好きな席。

仕事の都合もあって何度もやめようかと思ったけれど、
温かいのか諦めてるのか微妙な対応の同僚たちに
それなりに後押ししてもらえて、ありがたく行ってきました。
今回は、1回の遠征で観劇1本限定と、贅沢に一球入魂。
でも、某役者さんお勧めのあんかけパスタを食べに行ったり、
終演後に飲みに行けば役者さんがいらして泡食ったり、
友人と安ホテルで飲み明かしたり、旅行の楽しみは満喫して。
毎日気温が乱高下する中、温かく晴れた日で、
幸せ〜♪な気分で帰ってきました。


『レ・ミゼラブル』

<出演>
 山口祐一郎、鈴木綜馬、剱持たまき、岡田浩暉、
 ANZA、駒田一、森公美子、井料瑠美、東山義久、
 グランテール:伊藤俊彦、クールフェラック:横田大明
 ジョリ:岡田雄一、コンブフェール:小鈴まさ記
 フイイ:清野秀美、レーグル・司教:宮腰裕明、
 バベ:阿部よしつぐ 、ブリジョン:岸祐二、プルベール:萬谷法英、
 モンパルナス:森隆二、クラクスー:沓沢修一郎、
 買入れ屋:三木麻衣子、マテロット:高島みほ、
 ファクトリーガール:香山ゆき、ジベロット:田島麻子、
 マダム:井上珠美、少年1:村井麻友美、少年2:井上喜代子、
 かつら屋:亜久里夏代、ちびコゼ:藤井結夏、ちびエポ:福田夏未、
 ガブローシュ:大久保祥太郎
<指揮>塩田明弘
<場所>中日劇場11列19番

良かったかな。
いや、レミゼとして良かったかと聞かれると答えはNOですし、
すっごいバランス悪い舞台観てるなぁと思いはしていたけれど。
そうだな、一番近い感覚は「今、観て、行ってよかった」かな?
以下、語ります。久々なので半端なく長文です。

とにかく主役はもう、体力・気力ともに限界という感じでした。
輝きも随分失せてしまっていたのがファンとして悲しかった。
おかげでオープニングから「そういえばここがマリウス位置で
ここがテナってことは、アンジョが隣だったっけ」なんて、
余計な知識を反芻しているうちに話が進んでいってしまい、
更には司教が歌を忘れて無言になり「あー、だからアンサンブル
レベル低くなりすぎーっ!」とか頭の中で毒づいたりしていたら、
気がついた時にはバルジャンが許可証を破り捨てている始末。
エンディングまで、ほとんどバルジャンの細かい記憶はなし。

コゼットは剣持さんと知って「歌下手になった?」と思っただけ。
エポは、2幕冒頭、休んで元気を取り戻して帰ってきた客から
観る気を奪っていってしまう薄〜い存在感のソロやっている。
気がついたら死んでいて誰だったか思い出すのに苦労したファンテ、
以前の圧倒的な華が消えて学生に埋もれているアンジョルラスに、
ほとんどのアンサンブルは久々に観ても容赦なく「動く大道具」。
だから本当に、舞台としてはダメダメだったんですよ。

けれど今回は、そんな絶望的なレミゼに慣れた身に、
「こんなものに慣れるな!」と魅せてくれた人たちがいたから。
綜馬ジャベ、岡田マリウス、駒田テナ、岸ブリジョン(など)。
あと、小鈴コンブフェールも好き。この人はやっぱりコンブ役者。
アンジョでは無理が見えて沈んでいたけれど、こっちの方がいい。
伊藤グランも、今日は目立ちすぎずに意外に良かったかな。

でもアンサンブルでは、とにかく岸さんが特筆。
実はABCカフェでは、安定した存在感と静かな熱を感じて、
東山さんよりもリーダーができそうに見えてしまったために、
アンジョと演じ分けできてないのかよとか思ってしまっていました。
が、プリュメ街襲撃では少々とろいがドスの効いた存在感を感じ、
砦でガブとの絡みの瞬間には「絶対、このオヤジ、子供いる!」と
思った温かみ(ABCカフェでの絡みとは別人!)を感じたんです。
それらが皆、「特別な演技をすることなく」「悪目立ちすることなく」
気がついた時には、そういう人なんだと分かるようになっていた。
強いて言えば視線の上げ方とか、そんな程度のことで。

そういえば、それがレミゼのアンサンブルだったんですよーっ!
悪いけど、別に彼のファンじゃないし、じっと観ていた覚えは全くない。
それぞれの場面で、駒田テナや綜馬ジャベ、岡田マリウスなど、
観たくて観ちゃっている人たちがいるんだから。でも、ふとした瞬間、
プリンシパルではない「この人」を感じさせてくれる上手さがあった。
動く大道具ではないアンサンブルを感じたのは久しぶり。嬉しい。

岸さんが、アンサンブルでほぼ唯一人間に見えたと言うなら、
学生たちの中で唯一フランス人に見えていたのが岡田マリウス。
あんまり楽しくって、幕間、友人に送ったメールの第一声は、
「コスプレミュージカルやってる学生たちの間で、1人だけ
フランス人だから、浮いてる浮いてる・笑」だったぐらいだし。
いやね、多分動きがオーバーだったりしてるんでしょうけれど、
それがあんまり自然だから「あ、フランス人」としか言いようがない。
演技してる日本人の中に、「あ、外人が1人」ってことなんです。

例えばプリュメ街。「♪君を困らせた〜」って帰ろうとしたマリウスが
「♪ああ、君の名前も知らない」って戻ってきた瞬間に、「そうか、
詩を捧げるところから改めてやり直そうと思ったのね!(笑)」と
感じたんですよ〜。「愛する○○へ」と始めるには名前が必要だから
聞かなくっちゃ!って思った思考回路が理解できた自分に驚き。
コゼットも日本人だから、若干バランスが悪いっちゃ悪いけれど、
相手の気持ちを窺ったり、引く時は引くのもおフランス。任せなさい(笑)
「♪もう離さないよ〜」と突進して彼女の手に触れ、相手の反応に
慌てて手を引っ込める仕草も日本には稀な「紳士」なんですよね〜。

そして更に岡田マリウスに惚れたのは、きちんと思想があるところ。
その辺りも、現代日本人とは全然違うのね。何のために戦うか見える。
きっとこのマリウスは、誰もが少しでも幸せになるために戦うんだと思う。
だから、エポが死んだ時も「こんな小さな子が死ななければならない
戦いとは・・・」という感じの嘆きに見えたし、アンジョが慰めるのも、
一瞬手を触れただけにとどめ、大人同士の扱いが感じられた。

ガブローシュが弾を拾いに砦の外に出れば、無意味に見守るだけの
学生たちの中、アンジョルラスの指示で撃ち手を狙って銃を構え、
犯罪者であると告白したバルジャンには、見逃すのが精一杯という感じで
以後、一切目も合わせず「コゼットのため、誓います」と言うだけ。
すらりと若者らしい立ち姿で、品も良く育ちの良さを感じさせる外見からは
意外なほどの思想の強さ、男らしさが魅力的でした。いや、それでも、
ABCカフェなどでの恋に溶けまくりっぷりも見事で、アンジョルラスに
「♪マリウス、分かるけれど」と言われた瞬間、「分かってくれるか!」と
感激で抱きつこうとして、腕一本で思い切り胸を突いて止められたり
する姿に笑っちゃったり、というのも健在だったりするのですが。
ただ1つ、♪カフェソングだけは何かが物足りなかったけれど、
基本的に、「あんた、もう最高!」と叫びたくなるマリウス像が完璧。

そして、今回驚愕したのが綜馬ジャベ。
いえ、前から好きで気になっていたからこその遠征目当てでしたが、
知らない間にこんな物凄い変化していたなんて。信念の強さがいや増し。
オープニングでは、出てきた瞬間に空気が変わってピリッと張り詰めても、
まだ「そうかぁ、ジャベールって音楽も変わるし得な役だよな」とか、
生ぬるいことを思ったりしていたのですが。

あれ?と思ったのは、ファンテーヌの逮捕の場面。
再び、音楽とともに雰囲気を変えて現れたジャベール。
自分には理解不可能な市長の行動に、最初は戸惑いを感じるだけ。
その戸惑いが、馬車の一件で疑念に変わるが、その疑念も戸惑い。
だって彼は「バルジャン」は捕まっているということを知っているから。

そうやってきて「♪不思議だ、信じられない」の場面で感じたのは、
このジャベールがバルジャンに執着したのって、市長になっていた彼に
自分が気づかなかったからなんだろうなということだったんです。
逃亡囚は追うのが当然だけれど、バルジャンに対して職務以上に
こだわり始めたのは、その瞬間からかなって。自分に迷いを抱かせるから。
釈放した時点では、ただの囚人24653。多分、それが逃亡したとか
再度捕まったとか聞いても、よくある事例の一つでしかなかったはず。
それが、ジャベールの中で特別な事例になったのはこの瞬間から。
正確に言えば、この時点では、こだわりの相手は「この男」で、
それが犯罪者だと分かった瞬間が、彼の生涯唯一の迷いの原点になって。

「♪ヤツはきっと白状します」とジャベールは言う。けれど「ヤツが白状する
=こいつがバルジャンだという自分の勘が否定されること」である事実。
今まで市長を人格者として疑わなかった自分と、今疑っている自分と、
でもその疑念が間違いだという事実の間の動揺が見える気がして。
多分、 ジャベールはそれまで、「悪人には自分は気づく」と、
「悪人が善人になるなどありえない」の2つの信念に従って生きてきた。
それを覆す唯一の男だからこそ、10年後になっても、目の前の犯罪者を
「どうでもいいゴミ」と言い、彼のことしか頭になくなるほどなんだと実感。

彼の生き方が最も強く感じられたのは、砦に戻ってきた場面でした。
バルジャンに逃がされ、崩れるほど揺らぎかけていた自分の信念が、
落ちた砦でバルジャンが逃げたと知ったことで、また裏打ちされる。
けれど、再び信念を確信できたことへの安堵や喜びは一切見せない。
ただ、立ち上がって再び確信を持って追いに行くだけ。
逸脱しかけた自分の職務と信念に、ただ戻っただけの姿は、
ジャベールとしては確かにあまりにも当然で、けれど私なんかには
考えても見なかった行為で、目からウロコが百万枚ぐらい落ちました。

な・・・長すぎる(^^;
既にテキストで9kb超え(苦笑)携帯で読んでる方、すみません。
あと、やっぱり好きだったのは駒田テナなのですが、駒田さんに関しては
もはや「安心して好き」というか、今更どうこう言わんでもというか(^^;
とにかく、宿のオヤジっぷりから、10年後での「何があった、お前?!」
という変化が好き。何が違うって分からないんだけど、田舎の愛想いい
オヤジが都会の強盗団のリーダーになるまでの凄みの違いかげん。
そして絶対は、下水道。ジャベールが「悪人がいたら追う」のが当然なら、
テナルディエは「死体があったら探っとく」が染み付いた生活なんだなと。
別に凄んでいるわけじゃなく、普通の生活の一場面。彼にとっては
道端で「もうかりまっか?」程度の内容の会話をしている状態で、
滲み出てくる凄みがいいなぁ。これが、10年後のテナルディエ。

カーテンコールは、駒田さんの司会で岡田さん&綜馬さんのご挨拶と、
今日の私的には高笑いしたくなるほど納得で満足なおまけつき。
「じゃあ、浩暉ちゃんから」と言われた岡田さんは、微笑んで前に出て、
まだレミゼは続くので観に来てくださいとか、また名古屋に来たいですとか
自分のことはほとんど言わないのがファンとしては寂しいくらいのご挨拶。
綜馬さんは「皆様の健康を祈って入水自殺いたしました」と、やはり
実は祐一郎さんと同じ事務所にいられる人なんだなぁと思う意味不明の
言葉から始まり、ジャベールとは打って変わりすぎの朗らかなご挨拶。
「奥で浩暉さんと、帰る日が大雨でなくて良かったって話してたんですよ。
ねっ」などと、何かと岡田さんを振り返って「ね?」と相づちを求めながらで、
好青年姿でにこにこと応える岡田君との雰囲気が、男っぽくて好きでした。
2人の挨拶が終わったところで「実はもう1人終わりの人が」と駒田さんが
小鈴さんを紹介、ちょっと驚いた感じの小鈴さん、一歩前に出てお辞儀。
駒田さんは「まだまだ寒い日が続きますが、体に気をつけて・・・」と、
暖かい日になって良かったなと思っていた私には意外な言葉で締めて。

まあ、そんなわけで(どんなわけだよ(^^;)、
ガシガシ舞台を締めまくった3人+1人がいてくれたおかげで、
「そうよ!本来のレミはこういうものだったのよ!」という感覚を、
久方ぶりに思い出せたのが、非常に嬉しかったです。やっぱり、
適当なところでごまかしてちゃいかんよ。全員このレベルまで来なきゃ。
日生レミ、2回だけ取ってあるのですが、1回外れてしまった回が、
綜馬ジャベで、現時点で綜馬さんがないという事実があったり。
どこかで1回追加しようかな・・・。岸アンジョもないから、その日で。
少なくとも、それくらいの気分にはなれた観劇でした。良かったかも。



面白かったり共感したら、押して下さい。
ランキングに反映され、かずきが やる気を出します。

MyEnpituに追加する
かずき |MAILHomePageつぃろぐ