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2005年04月14日(木) 『ルル〜破滅の微笑み〜』

11日に行くはずだった舞台です。
某役者さんのところで前方席を取ってもらっていたのに、
「11日」という日付をすっかり忘れていて行きそびれ。
その日は、ある舞台の先行予約日でもあったのですが、
翌日2時過ぎに、「もしかして先行予約忘れてない?」と
電話があった時点で初めて、前日が11日だったと気づいて。
電話で話しながら、(11日って先行もあったけど、確か、
『ルル』だった気が、ものすごくするんだけど・・・)と
不安ムクムク膨れてきて、電話終えて慌ててチェック。
結果、ああ、やっぱり。

11日という日は、ごく普通に何も考えずに
帰りにご飯食べて帰ってきて日記書いて寝てました。
「11日=先行予約日で『ルル』の日」だということは
覚えていたのに、今日が11日だと一度も思わなかった。
一日中一度も日付を気にしないなんて事、あるのかなぁ。
まあ、実際にあったんだから仕方ないですが、不思議。
そして、あまりにも心残りで仕方がなかったので、
もう一回お金払って当日券で観てきた舞台の感想です。


『ルル〜破滅の微笑み〜』

<場所>世田谷パブリックシアターP列29番
  (最前はF列のため、結構 観やすかったです)
<時間>1幕100分、休憩15分、2幕80分
<原作>F・ヴェデキント
<構成・演出>白井晃
<脚本>能祖将夫
<美術>松井るみ
<出演>
  ルル:秋山菜津子、シェーン/ジャック:古谷一行
  アルヴァ:増沢望、ゲシュヴィッツ:根岸季衣、
  シゴルヒ(ルルの父?):浅野和之
  シュバルツ(2番目の夫、写真家)他:みのすけ
  ゴル(ルルの最初の夫、編集長)他:小田豊
  ロドリーゴ他:石橋祐、岸博之、まるの保


白井演出らしく、モノクロームの世界。
もともとの黒い床の舞台に、キャンバスのような色合いの
縦長の舞台が、奥を上げた八百屋状態でT字にクロスする。
ほとんどの演技は生成りの縦長の舞台上で行われるが、
左右にはみ出した部分も、時に、人が隠れる場所となり、
時に、着替えをする楽屋や物置となり、存分に使われる。
1幕4ヶ、2幕3ヶに分かれた物語部分の合間に、
コンテンポラリーなダンスで描かれたイメージが挟まる。
場面ごとに、上から垂らされる布が壁の役目をする。
使われる椅子や机は、やはりモノクロの服を着た
役者たち自身が不可解なダンスをしながら運び込んでくる。

いやまあ、ダンスは全く分からなかったのですが。
シゴルヒの言葉によって始まったプロローグ、
何もない舞台上で、踊るというか動き回っている人々は、
正直、あれ以上長かったら既に疲れていたかもしれません。
あまりにもシリアスで潔癖で、適当に観させてくれないし。
全編を通して、たまに少しずつ笑いも含まれているものの、
色合いと同様に、非常に純粋で潔癖な舞台。

それは、主人公のイメージにも通じていました。
「ルル」は、ファム・ファタルだと思っていたのですが、
サロメを演っている時ですら、そんなイメージはなかった。
何度も結婚し、次々と愛人を作っても、娼婦になっても、
私が見る限り「肉」や「性」といった言葉は彼女から遠く、
あくまでも、その肌のように透き通って白く汚れない。

なのに、男たちが彼女に見て求めているものは、
全く違うように見える。それぞれも、違う様相だし。
彼らが好き勝手なイメージで彼女を好きに呼んでいても
ルルが応えるのは、彼女自身が、自分が何になりたいのか
分からないままの真っ白な状態だからなのでしょうか。

そう考えると、彼女を「ルル」と呼んだゲシュヴィッツが
女性の意識を高めるための運動をしていたことが気になる。
人の求めるようにばかり姿を変え、ついに自分自身で
求める自分を見つけられなかったルルの悲劇という話?
でもそうなると、「破滅の微笑み」という副題が疑問。

ルルの父親だと一応 名乗っていたシゴルヒは、
彼女を何と呼んでいたか思い出せないことも気になる。
そして、オープニングでダンスの前に彼が現れた時、
どんな言葉で舞台の幕を開けたのかも思い出せない。
気になる、気になる、気になる。気になることいっぱい。
白井演出の舞台は、いつも帰ってきてから困らされます。



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