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2005年02月17日(木) |
『SHAKESPEARE's R&J』 |
「新ルドルフの浦井君が、エリザの次に出る舞台」 「首藤さんが、ストレートプレイに初挑戦する」 「男子校が舞台の『ロミオとジュリエット』」と聞いて、 最初から思い切り、行く気なしなしの舞台でした。 あとの2人は、名前を入力した記憶があるので どこかで観たことある人かもと思った程度だし、 ファンだけで客席を埋める舞台という印象の宣伝。
でも、始まって評判を聞いてみると何か違う感じ。 最初に帝劇友達から聞こえてきたのは大ブーイング。 「つまんない」「眠い」「セリフばかりで聞き取れない」。 実際、ガンガン掲示板にも値引きで売り出される中、 色々な感想を聞いていたら、逆に興味が出てきた。 シンプルな舞台で、衣装がえもなく、一人何役も演る。 帝劇ミュージカルやバレエのファンより、ストレートを 観慣れた人向けの舞台だという感想にも引かれ、 仕事帰りに劇場前を通りかかったせいもあって、 つい、当日券でフラフラと吸い込まれて観てきました。
『SHAKESPEARE's R&J』
場所:パルコ劇場 I-27番 時間:休憩込み2時間15分 脚色・演出:JOE CALARCO 出演:首藤康之、佐藤隆太、小林高鹿、浦井健治
セットは舞台上に正方形の厚い段を置いただけで、 その上に椅子2脚と箱が1つ。後は布と本だけを使う。 赤く長い布は、剣になったり毒薬になったり変化する。 制服姿の4人の男の規則正しい学生生活から始まり。 消灯後、こっそり読む恋愛物語に盛り上がって、 互いに役を割り振って演技を始めてしまう。
悲劇に向かう話の流れに、本を囲んでドキドキしたり 懐中電灯で照らし合って演技する中、足音に怯えたり。 そんな、読んでいる人間としての面白さと、 演じている中で現れてくる、新しい感情の面白さ。 作中の怒りに呼応してつい暴力に走ってしまったり、 最初は、胸のポーズを作ってみたりしてチャカしていた 女性役を演じるうちに、素直に恥じらいや嘆きを感じたり。 彼らが、役の気持ちを演じるうちに自分の中にも 新しい感情を発見してくる過程で、観ている私たちも、 『ロミオとジュリエット』に感情移入しやすくなっている。
とにかくだから、脚色と演出が面白かったんだと思う。 正直、今まで観たどのロミジュリでも、ほとんどの人の 流れていくセリフから感情を読み取ることは困難な作業で、 特に乳母などの、話の展開に関わらない部分については 「あー言ってる言ってる」と飽きながら聞き流しがちだった。 それが、本当に演技下手な浦井君が言っていてすら、 乳母の気持ちが分かるような気がしてくる脚本。
今回、きちんと演じ分けまでできていたのは、 小林さんだけだったのが残念ですが、本来なら多分、 ロミジュリのその後、演じたことによって彼らが変わる姿まで 見せてくれる舞台なんだろうなという気がしました。 でも浦井君も頑張っていて、その「頑張ってる」感じが この舞台の中では好印象だし、首藤さんも滑舌は 悪いものの、セリフに込める感情は意外なほど良かった。 佐藤隆太さんは、ごついガタイと低い声でジュリエットを 可愛らしく演じきったことで「男子学生が演じている ロミジュリ」という構造を、片時も忘れさせなかった。 ちょっと確かに¥8,000は高いかなという印象でしたが、 結構、拾い物。また観てみたい舞台です。
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