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2004年06月15日(火) 『暗い日曜日』

ル・テアトル銀座、
9列16番(前をつぶしているため6列目)
<出演>
ラズロ・サボー:近藤正臣、イローナ:星奈優里
アンドラーシュ:吉野圭吾、ハンス:増沢望、
店主、画家:安原義人
タイデルバウム教授:戸井田稔、夫人:長内美那子
有馬光貴、スズキマリ、伊東千啓、後藤ひろゆき
三村晃弘、原田篤、大橋てつじ、三根志乃ぶ
坂元宏旬、川口貴弘、中川和泉


映画の舞台化としてはいい方かもしれないけど、
それでもやっぱり、特に1幕は暗転が多かった。
しかも、1つ1つの暗転が長い。「その夜」とか
「数日後」とかの時間の経過を表すのに毎回、
暗転して人が出入りして机を並べ替えたりする。

ハンスが恋に敗れてドイツに戻っていき、
ラズロとイローナとアンドラーシュは三角関係のまま
誰も恋しい相手を失わずに生きていくことを選択する
話が、淡々と進む85分。1幕の最後に暗転した時も、
まだ続くんだろうと何の疑いもなく待っていたら、
突如、リピーターらしき人たちから拍手が起きて、
なんだ終わりだったんだと思っただけだったし。

最初に出てきた時の近藤正臣の厚化粧と
無理な若作りっぷりに衝撃を受けてしまったので、
星奈さんの恋人で、圭吾くんと増沢さんと争うって、
何歳の設定なんだろうと悩んでセリフをたぐったり、
そんな事ばかり考えている1幕でした。
でも相変わらず近藤正臣、セリフかみすぎで、
理解しづらいセリフが多かったのが、結構 残念。

それに比べれば、2幕65分は十分に劇的でした。
はまりきることはできなかったけれど、いい感じ。
イローナに想を得て作られた、アンドラーシュ唯一の
作品♪暗い日曜日は、世界中で人気となり、彼が
ピアノを弾くラズロの店に一層の繁盛をもたらすが、
この曲に関わる自殺者が増え、放送禁止にもなる。
ナチスの足音はハンガリーにも押し寄せ、
ユダヤ人であるラズロの身にも危険が迫る。
ナチスの幹部としてハンスが戻ってくる。

ラズロが言ってたことは よく分からなかったけれど、
♪暗い日曜日 という曲が人に迫ってくるのは、
「人としての尊厳が失われた時、どう対応するか」かな?
自分の曲が人を自殺させると言われることに苦しみ、
それだけは二度と弾かないと決意したアンドラーシュに、
ナチス将校が力で弾かせようと迫った時の、彼の自殺。
笑って、収容所行きの電車に乗り込んだラズロ。
アンドラーシュが死に、ラズロが収容所に送られ、
一度は死を選ぼうとするが、お腹の子に気づいて
生き続けることを選んだイローナ。♪暗い日曜日 を、
繰り返し聴いていたはずの彼らの人生。ハンスに
関しても、もう一度オープニングが観たいなぁ。

何となく 気だるいような1幕の雰囲気が、
どうにも好みでなかったのですが、思ってみれば、
3人の男に愛される説得力のあるイローナの美貌と
そこから作られた音楽に似合った雰囲気といえたのかも。
その曲がもたらした効果が、私が考える範囲内においては
全く違う方向性であったので、ちょっと混乱したけれど。
もしかして「人としての尊厳」とかに引っかかりすぎず、
男女4人の愛憎劇という方向性だけで見ればいいのかな。
心配してた圭吾くんの演技も特に2幕は良かったし、
笑いをとってくれる増沢さんの変化も、もちろん○。
もっと素直に観るべきだったのかなぁと、どうも
理解しかねたまま悩んでます。私には合わないって事?



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