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2004年03月09日(火) 『エリザベート』(山口・石川)

<Wキャスト>
山口・石川・浦井・藤本・苫篠

石川禅フランツ、観てきました。
これで、残りは大小ルドルフ1人ずつということで。
禅フランツ観て、何となく今回の演出を納得。
本当に今回、分かりやすさ重視なんだなということ。
そして多分、新人である禅さんを重点的に稽古しつつ
演出をつけていったのかなという気もしたり。
だって、綜馬さんで違和感を感じた今回の変更も、
禅フランツなら やたらとしっくり来たりするし。

禅フランツ、だめだめ男。
スポイルされて何も決められないマザコン君なのに、
たった1つ自分で決めたことといえば、死と滅亡を携えた女を
自分の手に負えないとも理解せずに手に入れてしまったこと。
そのため、相手も不幸にし、国も滅亡させた男。うわー最低(笑)
おかげで『エリザベート』世界が身近で分かりやすくなったけど。
エリザベートと共に苦しみ、皇太后と共に国の傾きを愁える。
フランツ1人が完璧にだめになるだけで、こんなに分かりやすい。

この男のどこに一目惚れしたのか、
エリザベートの その気持ちだけは理解しにくいんだけど、
その平凡さや、死やハイネに魅せられる気持ちなんか
永遠に理解できないであろう精神ってところかな?
フランツが彼女にある生への強い力に魅せられたのと同じ、
自分にないものに惹かれてしまったってことなんでしょうか。
でも、そこに惚れたのは大きな間違いで、だんだんと、
彼女の苦しみも全く理解しない彼が「愚鈍」とも見えてくるから、
これだけ頼りがいのない旦那なら、♪私だけに と
歌い上げたくなってくるだろうと、とても理解できる。

♪夜のボートでも、お互いの目で見ることは永遠に
できないだろうことが、別の意味でも見るだけで分かる。
「皇后陛下」と「1人の女を愛しているただの男」だもん。
シシイは自分の立場が分かるからこそ、それと戦って
苦しんで生きてきたのに、あまりに無自覚にそれを
投げ出している男相手じゃ、話が通じるわけなさすぎ。
こりゃ辛いよ、シシイ。

こればっかりは、妻への愛と国への奉仕の間で苦しむ
見事な綜馬皇帝陛下に惚れ込んでちゃ分からなかったなぁ。
1人の男として魅力的であっても、皇帝であるというだけで
最終的に「死」へとたどりつくほど自由を求める彼女とは
相容れないという、本来の『エリザベート』を理解するには、
私には平穏や安定や規則が魅力的に見えてしまいすぎる。
もっともっと「死=トート」自体が、性別と関わりなく
絶対的に魅力的な存在に見えれば別かもしれないけれど、
私は、Wどちらのトートにも そこまでの思いは抱けない。

もし、そういう安定志向を持った感想が多かったとすれば、
安定=皇帝側のレベルを下げた方が分かりやすいと、
演出側が考えたのかもと思ってしまうのは考えすぎ?
でもその おかげで、私にとっては理解しやすく
感情移入しやすい『エリザベート』となり、
彼女と共に苦しみつつ観ることができたと思います。

ただ今思うと、もしかしてこうなってしまうと、最後まで
「まだ私を愛していない!」に傾いてしまう可能性も。
ロクでもない亭主から逃げ出すための「死」と感じるまでに
方向性が変わっちゃダメなんですよね。自分が追い求める
絶対的な自由とはすなわち「死」だと確信して、それを
選び取るのこそが「生きたまま愛する」事なんだろうし、
精神病院訪問の前の彼女の血筋の話がカットされたのも、
狂った血筋という要因を排除することで、より前向きに
「死」を選んだんだと思わせるがためのものであるはず。
あくまでも、フランツは愛しているけれど、それでも、
自由を希求する気持ちの方が強かっただけの話のはず。
いかんいかん、今度はもうちょっと素直に、フランツに
一目惚れした気持ちを忘れず観るようにしよう。それも大切。

・・・って、私の解釈、間違ってます?やっぱり変?
ま、まあ、気持ちよく泣けたし、だめだめフランツも
気に入ったからいいんだけど・・・、あれ?(^^;

祐一郎トート、今回のエリザとの相性は、あまり良くない気が。
浦井ルドルフも内野さんの方がいいような気がします。
藤本エルマーは歌い方がやたら今さんに似ている印象。
なのに、篭もった感じの声だから聞き取りづらくイマイチ。
苫篠ちびルドも、もう一歩頑張りましょうという印象でした。
それと、2幕開演が10分遅れたのは何のせい?
電光掲示板は近くで観ると映っているものが分かりにくいし、
やっぱり不満だから、そのせいで遅れたのならちょっと(怒)。

最後に。ものすごく関係ないけど石川禅ファンとして一言。
カーテンコールで祐一郎さんと村井さんに挟まれる姿は、
何とも言えず、くすぐったく嬉しかったです。それだけ。



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