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2003年03月23日(日) 『マウストラップ』ツアー楽

大変 長いことサボりまして、すみません(^^;
その間に『オケピ!』と『マウストラップ』観ました。
今回は後者のツアー楽。日曜日に神戸で観てきました。
超ーーーネタバレです。一応、あんまりな部分については
こすりにしますが、話を知らない人は読まないで下さいませ。
あ、ついでに。辛口です。


<作>アガサ・クリスティ
<演出>大和田伸也
<幕>1幕65分、休憩15分、2幕65分くらい。
<出演>内海光司、勝野雅奈恵、岩田翼、淡路恵子、
入川保則、団時朗、高汐巴、戸井勝海

公演3回目?くらいに当たる東京初日から、
何度か観てきたのですが、雰囲気は変わらなかったな・・・。
何だかすごーーく力が入っていて、クリスティの楽しさがない。
演出家が意図的に変えているのかも?と東京楽で感じたのですが、
それならそれで別の魅力を見せきれていなかったと思う。

例えば、トロッターは実は精神分裂病の犯人ですよね?
最終的な犯人像がこうであるからという所から始まって
逆算で役作りすると、今回のキャラクターは正しいと思う。
まぁ、正確に分裂病の症状を調べて病気になった時期などと
照らし合わせると、ん?と思うところもないではないですが、
でもそういう点を緻密に正確に作る舞台じゃないと思うんです。
「こいつ絶対おかしいぞ!」とか「こいつが絶対犯人だ!」と、
謎解きをする人のために分かりやすいヒントを置いたりしては
戯曲の面白さが台無しになってしまう。「絶対」はダメだと思う。

台本の途中にチラチラと「あれ?」と思う部分はちりばめてある。
気づく人は気づいて謎解きをしてみたり、くすっと笑ったりする。
でも初見で気づかない人や、もう何度も見て十分知っている人は、
ある意味で類型的な登場人物の機知に富んだ おしゃべりや、
郊外の少し裕福なクリスティ作品らしい雰囲気を楽しむ。
どんでん返しも魅力の一つではあるけれど、全編にあふれる
余裕やエスプリに惹かれてこそ回数楽しめる芝居だと思う。
だから、ラジオのニュースで犯人の特徴を言う時に、
殊更ゆっくりと言い、更に役者が それにテンポを合わせて
コートやマフラーを片付ける
などは、ダサい演出の極み。
それらの わざとらしさに気づく度に悲しくなっていたのは、
私だけではないだろうと思うのですが。

真面目一辺倒、洒落っ気なしの演出にするなら
そういうやり方も有りなのかもしれないと思おうとした。
だから、「これはクリスティではない」と頭に叩き込んで、
神戸公演2回は観てきましたが、それにしてもつまらない。
そりゃ、意味も機知も取り去って、書いてあるとおりに
「ここで○○、××に移動して葉巻に火をつける」など
行動だけなぞったところで人物像が見えないから退屈なのは当然。
代わりの意味を見つけられなかった演出のためにか、
全員が めいめいに動くだけの芝居だったと思いました。

中で魅力的だったのは、淡路さん@ボイル夫人。
後は・・・・岩田翼@クリストファー・レンかな?
彼らはこの演出の中で、まだ優雅な魅力を残していたと思う。
入川さん@メトカーフ少佐も、まぁいい方かな・・・。
戸井さんは、演出の方向性に沿った人物像を作っていて、
私の望むものとは全く逆だったけれど、それも有りかと。
後は いかにも中途半端な人が多くて、退屈な舞台。
出演者のファンでなけりゃ暴れていた可能性大。

戯曲は、読むだけでキャラクターが立ち上がってくるような
本当に面白いものだし、大半の出演者は きっと上手な方たち。
演出家の力の偉大さを、逆説的にしみじみ感じた舞台でした。
こんなに自分で演出したくなったのも学生時代以来かも(^^;



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