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1999年04月20日(火) ミュージカル座『ルルドの奇跡』

※六行会ホール、¥5,000−(出演者価格¥4,000-)、
全席自由(J-13。センターブロック上手より2席目)
1幕:18:30〜20:40、2幕:20:55〜21:55
パンフレット:¥800-

キャスト表によれば、名前のあるキャストだけで30名、
アンサンブルも含めれば61名出演していたそうです(^^;
よって、キャスト名は割愛させていただきます。m(_ _)m

<ストーリー>

フランスの外れ、ルルドの地に実際に起こった、
キリスト教における奇跡を元にした話。
ルルドの貧しい家に暮らす病気の娘:ベルナデット(伊東恵里)は、
薪拾いに行ったマッサビエルの洞窟の前で神々しい婦人に出会う。
翌日も行ってみたベルナデットに、婦人は、
これから15日間、毎日、ここへ来るようにと告げる。

ベルナデットが洞窟で祈る姿に、婦人は聖母マリアだと確信した者がいて、
たちまち、その噂は町中、そして更に、フランス中に広がる。
教会や役人から、危険人物と見られるようになるベルナデットだが、
婦人の言葉に従って掘った洞窟前の穴から、治癒の力を持つ泉が湧き、
皇帝までもがその水を欲しがるに至り、ベルナデットは時の人となる。

あまりの騒ぎに、ベルナデットはこの町では暮らせないことを悟り、
ルルドから遠く離れたヌベールの修道院に入り、シスターとなる。
「この世では幸せになることはない」と聖母に言われたとおり、
病は癒えることなく、35歳の若さで、天国に旅立つが、
死後30年経っても遺体が腐らないという奇跡が起こり、
教会により、彼女は聖女であると認められる。

<感想>

私、多少怯えて、多少期待して、観に行ったんです。
「ルルドの奇跡」という信仰の対象であるものを、
信仰を持たない人の視点で舞台化するとどうなるのか?と。
・・・が、結論から言うと、それは失望に終わりました。

「三位一体」とか「無原罪」なんて言葉が、何の説明もなしに、
当然のように、ポ〜ンと投げ出されたりしてしまうんです。
ベルナデットに、婦人の名前を尋ねてもらった人々が、
「『無原罪の御宿り』ですって」と答えられて衝撃を受けるシーンも、
このまま説明が無かったらどうしようかと、ハラハラしました。
なのに、無学なベルナデットが、その意味を知るシーンでも、
「原罪とは何か知っているな?」と問われ、
「はい、アダムとイブですよね?」と答えるだけ。
客席の8割近くを埋めていたと思われる関係者の、いったい何割が、
この言葉を知っていたかどうか、疑問を感じてしまいます。

そして、何も、宗教的でない見方は提示されませんでした。
まるで、疑う余地も無い事実であるかのように、すべてが進むのです。
ベルナデットにしか見えないはずの聖母が、肉体を持って登場していて、
聖母役の人がちゃんと居るのには、こちらが頭を抱えてしまうくらい。
まさにカトリック系の学校で学生が上演する お話と、同じ種の舞台。
歌詞も、今の日本で使われている言葉そのままではないものの、
カトリックの祈りや歌の訳詞が使われる部分が、あまりに多いし。

学校演劇くさく見えてしまう原因は、それだけではなかったです。
最も大きいのは、前回の『ひめゆり』の時にも感じたのですが、
演劇学校の生徒さんらしき未熟な人々が、大量に出演していること。
入り口で「チケットを予約してある・・」と言いかけた途端に、
「出演者名をお願いします」と言われてしまうことといい、
(窓口で電話予約して当日支払いという形もOKなのに、ですよ?)
最中に「ほら、あの緑の服の子よ!」などの声が聞こえることといい、
カーテンコールでも、音一つしない中、舞台踏み鳴らして入ってきた
20数名ずつが一斉にお辞儀して下がるという繰り返しといい・・(ーー;)

最後に伊東恵里さんが現れるとテーマ曲が流れ出して、もう一度歌う。
その演出がまずいとは言いません。彼女だけで持っている舞台ですし。
でも、その彼女が可哀相にみえるほどの研究公演くさい雰囲気は、減点。
曲も、どれも綺麗なのですが、作曲家は数種のパターンしかないらしく、
どれも、どこかで聞いた事があるようなものばかり。
初めて聞けば、驚けるぐらいの種類はあると思うのですが、
『ひめゆり』に続いて、2作目ですからねぇ、私(苦笑)。

・・・というわけで、私にとっては
「知り合いが出てなきゃ、金も時間も使う気にはなれない舞台」でした。
帰りに友人と話していたのは、「せめて5月にやってくれればねぇ」。
5月は、聖母マリアの月なんです。だから、カトリック系の学校では、
マリア様を称える歌を歌ったり、劇を演ったりするんです。
そういう月だったら、もっとその気になっているから、
気持ち良く見られたかもしれないなぁ・・・なんて言ってました。
こういう舞台を作ってしまう脚本&演出の方は、カトリック信者だろうから、
たった2週間やそこら、ズラしてこだわってみても良かったでしょうに。
もし信者でもないのに、こういう視点の舞台しか作れなかったのなら、
・・・今後、ミュージカル座の舞台を観るのは考えてしまいますね・・・。



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