いろいろ日記

2002年03月19日(火) 16・・・昇天

わたしは 父の 姿が脳裏に浮かんできた。

父は浄霊師がイメージで送った真っ白い装束を
身にまとっていた。

あの時のボロボロの父ではなかった。

いつもわたしの事を心配していた 優しく 穏やかな顔の
父だった。

でも まだ踏ん切りがつかないようで 
なかなか 船に乗ろうとしない。

『おとうさん・・だいじょうぶだよ。
じっちゃんのことも ばぁちゃんのことも おかあさんんことも
おみせだって・・わたしたちのことも・・・心配しないで
ちゃんと やっていくから そっちの世界で見守っていて・・』



終わった・・・と思った。

脱力感が押し寄せてきた・・・と思っていたら・・・

心に フワーっ と舞い降りた・・・

懐かしい思いが 舞い降りてくる・・

浄霊師はわたしの気持ちにお構い無しに浄霊をはじめた。

『・・・・ジロー・・・・』

どうして?! なんで あなたがここにいるの?!



ジローは ずっと昔 恋人だった人。
愛して愛してやまなかった人。

何故?どうして?

ジローのこころは落ち着いていた。
春の日差しのようにあたたかに感じられた。

ずっと このまま ジローを感じていたかった・・・・。

ふっと辺りに ジローのコロンと煙草の混じった香りが〜
けれども それはすぐに 消えた。

そして 浄霊は 終わった。 



 
 
 
 
 
「先生・・・最後の方は・・・」

「ここで起きて そして終わったことは 何も聞かないほうが
良いのですよ。 みな ご成仏されていきました。
よかったですね。」

「はい・・ありがとうございました・・・」


わたしは 涙と汗でぐちゃぐちゃになっていた。
着ている服も乱れていた。


 
 
 
  
不思議なことに それまで 重く重く重かった頭や肩が
すーっと軽くなっていた。
そして くよくよ めそめそ していた気持ちも 
吹き飛んでいた。

待合室に下りると 先ほどわたしの前に浄霊してもらっていた
人がいる。

あの暗かった顔は微塵もなく 底抜けに明るい笑顔で
おしゃべりしていた。

わたしは お布施を払うと 街に 出る。

ショーウインドウには 見知らぬ自分の顔が映っている様な
気がした。






その後 わかったこと

ジローはガンに侵され わたしの父が亡くなる数年前に 亡くなっていた。
誰とも結婚していなかったそうだ。

ジローのお母さんも ジローが亡くなると
後を追うようにして 亡くなったと言う事だった。

                        終わり。






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