『秋が好きなんだ』と彼は枯れた樹を見つめて屈託のない笑顔で言ったそうしてまた今年も秋が来る暑い日と寒い日が入り交じる季節春と違って全ての生き物が冬を見つめる彼は また樹の下で紅と茶が混じる葉を見つめまた笑顔で「秋だ」と喜んで呟いた私は 落ち葉の道で「そうね」と笑い返す彼は 言う『秋が好きなのは君がここに来るからだよ』私は『あら お上手ね』と言い返すそう今は 実りある秋