マニアックな憂鬱〜雌伏篇...ふじぽん

 

 

僕がネットに文章を書き続ける理由。 - 2003年10月23日(木)

 最近どうも煮詰まっている。
 少なくとも、この2003年に、世界を変えるような医学的研究なんて、できるわけがないじゃないか。
 だいたい、僕がやっている仕事には、厳然とした基準もないし、やればやるほど自分の土台の脆さを感じるばかり。

 そんなふうに落ちこんでいたら、同僚の先生がこんなことを話してくれた。

 「こうやって英語の論文とか苦労して書いたらさ、ひょっとして、何年とか何十年(僕たちが今やっている仕事というのは、比較的旧くなりにくいジャンルなのだ)くらいしてから、世界のどこか自分の知らない場所で、自分の論文を検索して見つけた人が、『ああ、自分の前にこんなことやってた人がいたんだなあ…』って感じてくれるんじゃないかな、って思うんだよね。今は、そういうのを想像することが、論文を書くいちばんの愉しみ、かな」

 まるで、瓶に入れた手紙を海に流すような愉しみかもしれないけど、そういうのは、確かにロマンチックだ。
 そして僕は、今日も論文を書くためにあがき続けている。

 たぶん、こうして毎日誰にあてているわけでもない文章を書き続けているのも、同じ理由なんだろうと思う。




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