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■ 働かへん子
うちの病院に某芸能人の親族Aさんが来た。 確信はなかったけど、名前からしてそうかな?と。 でも、ナースである私からわざわざ聞くのもやらしいし、最初は聞かなかった。
実は、私はそのAさんと共通の知人Bさんがいる。 Aさんに会う前から、噂はそのBさんからいろいろ聞いていた。 そこで、Bさんのことご存知ですか?と聞いてみた。 すると知っていると言う。 遠回しな確認の仕方だったけど、それで確信が得られた。
でも私は、その確信を得るためだけに尋ねたのではなかった。 Bさんはずっと体調が悪く、病院に入院していた。 お見舞いに一度だけ行ったことがある。 ずっと気にはなっていて、安否が心配だった。
Aさんが言うには、Bさんは昨年亡くなったらしい。 今度は亡くなったというBさんが、本当に私の知るBさんなのかどうか、再度確認の意味も込めて尋ねてみた。
Aさん 『あの働かへん子やろ?』 私 『…えっ?』
私は最初その意味がわからなかった。 高齢者のBさんのことを、〜子という表現もあれだったけど、働かへん子ってなに?って。
あんなに働き者のBさんのことを働かへん子? 私は何か、別の人のことを言ってるのかもとも考えてみたけど、その他の話からもBさんのことには違いない。 じゃぁ〜なぜ働かない子なんだ?
そこでハッとした。 Bさんは1人暮らしで生活保護を受けていた。 奥さんも子どももいたけど、離婚して1人だった。
私がBさんのお宅を訪問すると、いつも温かく迎えてくれて、本当に優しい人だった。 Bさんは私に、これまでの人生を話してくれることもあった。
とても貧しく、学校もまともに通えなかったこと。 父親にいつも殴られて、骨折までしたこと。 母親も幼い頃に亡くし、若い頃から自立して働いていたこと。 働きづめで身体を壊して持病がたくさんあり、身体のあちこちが痛いと言っていた。
見た目、障害があるようには見えなかったけど、Bさんは手が不自由だった。 それでも地域のため、友人のため、身体を引きずってでも人のために働いていた。 ほとんどがボランティアで報酬もなく、人に感謝もされないような日陰の仕事を淡々とこなしていた。
無理して無理して、身体がボロボロになって… 私は無理しないで、誰かに頼んだら?とか、誰かに助けてもらったら?とか、ほんとほっといたら?とか、Bさんの身体のことが心配でいつも言っていた。 それでも、人のために働くことが大好きで、それを止められない性分のBさんだった。
だから、働かへん子=Bさんというイメージは私にはない。 だから最初、Aさんの言ってる意味を理解できなかった。
生活保護を受けているから? 報酬のない仕事をしてるから? 離婚して1人で暮らしているから?
Aさんは、高額所得者である某芸能人の親族。 大きな一軒家に家族と暮らしている。 悠々自適の生活。
『あの働かへん子やろ?』 なんかモヤモヤする。 なんだろう?この不快な気持ちは!
2009年07月07日(火)
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