蛍桜

≪BACK TITLE LIST NEXT≫

ここにいないだれか

写真を整理して、ふと思い出した

私はおばあちゃんの死をきっかけにして、
前以上に、人の写真を撮るようになったんだって



昔から写真を撮ることが好きだった
なんで好きだったのかは覚えていないけど
無意味な写真をたくさん撮っていた

昔はフィルムだったから
現像にお金がかかって怒られた

高校の時は、インスタントカメラが流行った
だけどあの時撮った写真は
一枚も見つけられなかった
撮ることに満足して、
ちゃんと現像しなかったか、保存しなかったらしい

自分で初めてデジタルカメラを買ったのは
多分、海外に初めて行く時だった

19歳のときだったかな

それまで写真を撮ることが好きだったのに、
なんで自分でデジカメを買わないでいられたのかは
あんまり記憶がない

でも、遠い記憶の中でかすかに残っている事項が正しければ、
私がカメラに興味を持ったのは
お姉ちゃんが、親にカメラをねだっていたのを聞いてからだったと思う

だから多分、私も何かにお祝いにカメラを買ってもらったような気がする





ある日、おばあちゃんが突然、
前触れもなく死んだ

喪主のおじさんは、一生懸命、遺影に使う写真を探したらしい

それを聞いてからだ

あ、おばあちゃんの写真、残せなかった
って、気づいたのは


ただ、何故か奇跡的に、
おばあちゃんが死んじゃう前の年末に、
婚約者(当時はただの恋人)を連れて行った

ばあちゃんが死んじゃった、って
婚約者に話すときに
ああ、この人はばあちゃんに会ったことがある人で、
頭の中で同じ人を思い描くことが出来るんだ、
っていう事実になんとなく感動した

そして、婚約者を連れて行ったときに、
なんの流れだったか忘れたけど
多分、彼がそう言ってくれたんだろうけど、
みんなで集合写真を撮った

じいちゃん、ばあちゃん、
おかあさん、ねえちゃん、めいっこ、
おじさん、おばさん、いとこ

私の中でこの集合写真は
すごく特別なものになった

おばあちゃんの葬式が終わって
集合写真を改めて見て

これからは、人も撮っていこう

と決めた



写真を撮るのはもともと好きだったけど
今では違う意味もある

昔から、その一瞬を切り抜きたいって気持ちはあったけど、
今は、その時間を残したい


だれかに、

これが私のおばあちゃんだよ、って
知ってもらいたい


おばあちゃんとおじいちゃんに、会いたい

2011年07月10日(日)

≪BACK TITLE LIST NEXT≫

 

My追加メール

My追加

enpitu skin:[e;skn]

 

Copyright (C) 蛍桜, All rights reserved.