蛍桜

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3th
エメラルド色の湖に誓う言葉なんてなかった
ただ願ったのは
この自然がずっと続きますようにということであって
そこにあるのが当たり前なのに
当たり前じゃないぐらいの綺麗さがあった
どこに行ってもあるのは人間の醜さで
だけどそれをなくせないのもまた愚かさで
楽しくないわけじゃないけど
素直に心から笑えないのはこの性格のせいなんだと思う



結局私はたった一人のための安定剤で
それ以外に存在する意味がなくて
必要性もなくて
だからそのことに没頭しようとしたけど
使い捨てされるその役割に嫌気がさした

私も、私として笑いたくて
私も、私として見てもらいたくて
だけどそれはない
だって私は私じゃなかったから

よくわかったよ私はダメなんだって
少しは淡い期待を抱いていたけれど
私なんて誰も眼中になかったんだ
私はただただ笑って
相手が不快にならないように心を殺してた

別にいる意味なんてなかったから
余計に、それがほしかった
せめて誰かに笑顔で話しかけられるようになりたかった

だけどそんなことは私の役目じゃなかった
私が述べたことを自分が考えたことのように言われ
私が教えたことを自分が知っていたことのように言われ
私はその人のために存在していて
一生裏方で
誰からも見てもらえなくて
光なんて見えなくて
その人が私を置いてみんなと笑っていても
私はひとりで残されて
ひとりで残されても文句は言えなくて
大丈夫大丈夫
ただそう笑うだけで

むなしかった
むなしかったよ

楽しかった
確かに楽しかったけど
私は私として笑えてた?
みんなは私として見てくれてた?
答えはNOだ

あんなにかわいく強請れない
あんなにかわいく近寄れない
あんなにかわいく話しかけれない
あんなにかわいくアピールできない
あんなにかわいく寝たふりできない
あんなにかわいく、ない

おまけとして存在することを学んだ
初めは自分として存在することを望んでいたけど
やっぱり私には無理だったみたい
誰も笑わせれないんだもん
正直限界感じた
私にこれ以上できることはあるの?
頑張ってなかったなんて、言わせない

きれいな景色とは裏腹に
私の心はいつも醜かった
シャッターを押す瞬間まで醜くて
うまくとれた写真なんてなくて
どうしたらいいのか分からなかったから
ほんと、ただ、ただ、我慢して
みんなの顔を見るのが怖くて
ひとりぼっちなのを知るのが怖くて
ただひたすら風景にカメラを向けていた

しょうがないんだよしょうがない、だなんて
言い聞かせたりしてて

私に足りなかったのはなんだろうって考えると
あまりに多すぎて手が出なかった

でもうまく笑えてたんだよ

だけどたまに一人ぼっちだった

一人ぼっちに慣れなくちゃって
そう思っても
無責任に自分のタイミングで私を求めてくる人のために
私は一人ぼっちにも慣れさせてもらえない
私は、彼女が笑えるようにサポートして
彼女がほかの人と楽しめるようにサポートして

ただの安定剤だった
いてくれると安心感が違うって言われたって
そうやって私の繋ぎ止めて逃げ道作った
自分が道を作ることに失敗したとき戻ってこれるように

だけど失敗しなかった
成功したから私の道は必要なくなった
だけど私が離れようとしなかったから
その道は今もそのままだ
たまに足跡を残してはまた去っていく
ここよりも居心地のいいあっちへと

そんなことに気づいたのはもう最終日で
いてくれてうれしい、なんて言われても
こっちはちっとも嬉しくなくて
こなきゃよかった、って言葉が一瞬頭をよぎった
行ってよかったはずなのに
いろんなこと学べて、いろんなこと見れて、
ほんと、よかったはずなのに
それをすべて否定したくなるくらい
こなきゃよかった、と

後悔はしてない
多分どっかでわかってた
これは私の物語であっても私中心の物語ではなかった

これから、これから、、

結局変えることなんてできなかったんだね
多分全部振り出しに戻っただけだ

日本に帰る楽しみもなくなって
カナダに留まる楽しみもなかった
帰りたくないね、と言われた機内で
私は半分本音で頷いた
つまり半分は嘘だった

私はどこにどうやって存在していけばいいのだろう
前よりも強く、強く思う
そして強く、見失った

やっぱり自分の意見を主張できないのはよくないのかなー
でも私そんな自分勝手になりたくない
そんな人間にならなくていいから
ただちょっとだけ誰かの心に残りたかった
ちょっとだけ誰かの癒しになりたかった

誰かが私の表面だけではなく
中身を見てくれることを期待していた
だけど私が見せていたのはいつでも表面だった
探り当ててほしかったのに
誰も探り当てることは出来なかった
誰も探り当てようとはしなかった
だって、必要がないもん

多分このまま笑顔で
ばいばい、って言って
楽しかったね、また会えたらいいね、って言って
きっと次の集合がかかるまでずっと会わなくて
そこで会ったとしても大した会話もできなくて
がっかりさせてしまっておしまいなんだろうな
2007年06月09日(土)

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