TAKASHITの日記

2002年03月04日(月) LV30

練習の帰り、僕は一人西武池袋線で電車を待っていた。


「電車の中で何聴いて帰ろうかな?」


煙草に火をつける。


「ミスチルにしよう!」


そんなポップな気分だった。





ふと横に目をやる。


電車待ちの列から外れたところに少年が一人。


母親がその横に寄り添う。



「うわっ」

と思った。



生理的に受け付けない親子だった。





少年は食い入るようにゲームボーイの画面を凝視していた。

小太り。

ださい服。

ぴちぴちのズボン。

スポーツ刈り。





「保護されてんだろうな」

と思った。





そばで子供がゲームに夢中になってるのを見守る母。

母親には気もかけずゲームに没頭する少年。

RPG(ロールプレイングゲーム)らしい。








電車が来た。







少年はゲームをしながら列を割り込んで電車の中に突進してきた。

目はゲームの画面から離さず一目散にシルバーシートに座った。





「・・・。」




別に驚かなかった。






「やるだろうな」




とは思っていた。





短い観察の中から



「少年はわがままであろう」



という確信があった。




そして




「対外的なコミュニケーションには向かないだろう」



ということも。




シルバーシートでゲームを続ける少年を一瞥して

その前に立つ母親に目をやった。




僕の視線に気づいたのか

母親はちょっとおろおろして視線をはずした。


それからも僕の顔色を伺うようにちらちらこちらを見ては

視線をそらし


何もしない。





子供の行動に対する負い目が彼女を支配しているのは

一目瞭然だった。





「何で一言いえないのか」


列で並んでた人に

そして自分の子供に。




少年は母親とは一言も交わさずゲームに夢中になっている。







ふと新潟の少女監禁事件を思い出した。







この少年の10年後を少し想像して

すぐにやめた。



気分が悪くなった。



ミスチルはやめてスリップノットの「IOWA」にした。




少年はゲームの主人公になりきっている。




絶対的な正義の名のもとに

怪物たちを殺戮する。

何も考えず殺戮する。

人からは感謝される。

「ありがとう。怪物をころしてくれて」

殺戮が快感になる。



敵の都合なんて知らない。


他人のことを考えられない。





怪物は自分でしょ?





少年がゲームをリセットする。

気に入らないことがあるとリセットする。






召喚するか ドアを開けるか 回復するか 全滅するか





書き換えなんてできねぇんだよ。





母親は何も言わず

何も教えず

被害者づらしてる。






親子が「ひばりが丘」で降りた。



また少年はゲームをしながら突進して降りる。

人にぶつかる。

何も言わない。

少年も

母親も。





自分でも驚くくらい冷たい目で

見送った。

怒りとかじゃなくて

ただ蔑みの感情で。









IOWAいいですな〜。再評価。うむ。


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