食費が360円。 一回の、じゃなく、一日の。 それも、大根1本100円の田舎町ではなく、 ランチが1500円だったりするオフィス街で、である。 しかも、うち105円は黒酢のドリンクである(カロリーオフ)。 昼ごはんはプリン、夕飯はコッペパン。夜食が黒酢。 というわけで午後十時、さすがに空腹になってくる。 体温が下がってくるのが自分でわかる。 人間は食い物で動いているのだということがはっきりわかる。 今日は口と胃の調子が悪く、あまり食事が喉を通らないのだ。 口を動かすたびにあごの骨と針金がきしむので、 咀嚼も嚥下も面倒になってくる。 でも水くらいは飲まないと。水か、お湯くらいは。 このように、歯や胃が原因で 結果的に食事を控えてしまうことがよくあるが、 そのわりに全然やせないのがすごく不思議である。 七不思議である(他の六つは?)。 栄養が偏っている。 そのことは自分が一番よくわかっているのだが、 お酢や野菜ジュースで懸命に補うぐらいしか今はできない。 マグネシウムを多く含む食品があんまり噛めなくなっちゃったのだ。 でも食べなきゃ!と強烈に思う。 今しっかり食べておかなきゃ、本当にあぶない。 なんせあと数日で、今月のまともな食事は終わり。 治療の影響で、そこから10日間くらいは コッペパンやプリンも、水もお湯も大変になる。 そこを乗り切る生命力がぜひともほしい。 ……俺はなんなんだ。 ル・マンに出る人か。 なんで普通にもの食って普通に眠って生きられないのか。 それは、普通に生きることを望んでいないからである。 普通に息をすることさえ望んでいないのかもしれない。 冗談ぬきで、普通に本名で呼ばれることを子供の頃に拒絶して、 自分で自分に名前をつけたような人間である。 そりゃ普通に生きたいはずはないのだ。 そういう者は茨の道を、荒野をひとり行くのである。 …………っていうとかっこいいけど、その実、 オフィス街のコンビニでケチくさい買い物をしては 夜な夜な体温低下に青ざめているだけの、体の弱めな人である。 仕事をしているときは「仕事をしている人」とも呼べるが、 仕事を離れれば「待合室で文庫本を読んでいる人」以外の何者でもない。 ここでいう待合室というのは、言わずもがな病院のね。 特急列車のじゃなくてね。 ホームにあって、駅弁買いに出たりする、ガラスばりのアレじゃない方。 |