愛読している雑誌が、創刊十周年。 そうかあ。十年かあ。 十年前に出会っていたかったなあ。 で、十年前の自分のことを思い出してみたが、 薄汚れたボストンバッグひとつかついで、 さびれた故郷の町の片隅にある灰色の路地をひとり歩きながら、 「俺みてぇなヤツは生きにくい世の中になっちまったナ」 なんてつぶやいていたような印象があるが、 半分以上はでたらめである。 ちなみに、持病にかかってからは九年になる。 白いカーテンの中で白いベッドに横たわり、 ゆがむ視界に浮かぶ白い天井を見つめながら、 「私の人生も来るところまで来てしまったかもナ」と感じた頃。 (※語尾の“ナ”が、ここでは重要。所謂ポイント。) …ってな具合に考えていくと、 自分、十年前の時点で相当くたびれた状態だったんだな。 そうなると今は、もうすでに働くとかいう状況の人じゃなくて むしろ隠居するべき人間なんじゃないかと思ってしまう。 ただ、いまどきの高齢者はめちゃめちゃ元気だから要注意だ。 ひそひそと隠居生活に入ろうとしたところで、 老人パワーに圧倒されてすごいことになるような気がする。 無理ッス、って言いながらの十年。 だめかもね〜、と笑いながら十年。 ささやかに必死に、いつしか十年。 あの雑誌もそんな気分で息をし続けてきたんだろうか。 |