蜜白玉のひとりごと
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あんまり怒っていては余計なしわが増えるばかりだ。考えれば考えるほど、どんどん深みにはまっていく。悩んでも悩まなくても状況は変わらないわけで。今日のところはとりあえず横に置いておく。
川上弘美『古道具 中野商店』読了。異世界へも行かず、変な生物も出てこなかった。骨董屋じゃなくてうちは古道具を扱ってると強調する中野さん、そこで働くアルバイトのヒトミとタケオ、中野さんの姉のマサヨさん、中野さんの愛人のサキ子さん。ほかには商店街の人とか、マサヨさんの恋人とか、いたって普通の人が出てきた。
中野さんはただの古道具屋の店主なのに、どういうわけか女の人にモテる。主人公のヒトミとタケオの恋愛(?)よりも、中野さんと愛人の抜き差しならない感じの方が楽しかった。中野さんは事態が面倒なことになってくると、遠くへ逃げてしばらく帰ってこない。とてもわかりやすい。
中野商店も暇そうだけれど、流行らない店の店番もいいなと思う。この前の休日、近所のフリーマーケットに出店した。決められた区画にビニールシートを敷いて、洋服やら雑貨やら本やら家から持ってきた不用品を並べてしまったら、もうすることはない。朝から夕方まで折りたたみ椅子に座って店番をする。相方はすぐに飽きてじっとしていなかったけれど、私は釣れない魚釣りみたいで楽しかった。獲物が来るまでじっと待つ。待っているそぶりなど見せずにじっと待つ。人が通りがかってもいらっしゃいませも言わない。何か聞かれれば答え、買ってくれそうな人には少し愛想よくする。売れたらありがとうございましたと言う。ただ、閉店間際には100均セールをしたので、その時はチリンチリンとベルを鳴らして派手に呼び込んだ。売れ残りを持って帰るのはおもしろくないからだ。
フリマのあとに『中野商店』を読んだから余計、店番いいな、と思った。
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