蜜白玉のひとりごと
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ついに武田百合子『富士日記(下)』を読み終える。最後の方は涙が出そうになって、鼻の奥がつーんとした。電車の中なので、涙がこぼれないようにぎゅっと我慢して読む。映画やドラマを見ているときはわりと簡単に泣くけれど、本だとめったに泣くことはない。読みながら泣いてしまった本は、最近だと、谷村志穂『海猫』くらいだ。
人間は生まれてくるときも一人ならば、死ぬときも一人なのだ。愛する人を残して自らが死ぬ。かたや愛する人に先立たれ、残された人生を一人で生きる。どうやら、この寂しさを避けて通ることはできそうにもない。どんなに仲がよくても、あなたと私は別々の生き物。
『富士日記』には、誰かと暮らす、共に生きるということの楽しさやおかしみが、存分にあらわされていると思う。繰り返しの毎日がどれだけ幸せであるかも。人生に迷ったら、下手な占いよりもこれを読め。折に触れて読み返したい、大切にしたい作品だ。
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