Deckard's Movie Diary
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2008年12月06日(土)  D−WARS  青い鳥

『D−WARS』
リバティ・ビルをスルスルと登っていくシーンはキングコングとエンパイア・ステートビルだし、ラストが怪獣?同士の戦いになっているところなんかは明らかに日本製怪獣映画の影響がモロに出ています。『ヤンガリー』のスタッフがロスを舞台にして作ったトンデモ怪獣映画の中盤は『ロード・オブ・ザ・リング』だったりしますし、もう何でもあり!です。韓国映画ですから東洋の神秘的な類はありますが、ストーリーには目新しさはありません。個人的に良かったのはドラゴンの造形かな・・・。で、良かったのか?と聞かれたら・・・って、聞くなよ!主人公はトム・クルの二番煎じみたいな役者でした(だから、なに?)。



『青い鳥』
ラスト近く、先生・村内(阿部寛)と生徒・園部(本郷奏多)のヤリトリが全てです!それまではそこへ行くまでの序章でしかありません。この映画に特筆するべき部分があるとすれば不本意にも苛めた側に加担してしまった生徒の心情を描いている部分かもしれません。自分の気持ちを相手に伝える仕方は人それぞれです。吃音の村内は「私のように上手く喋れなくて時間のかかる人間も居れば、ふざけてしか本音を伝えられない人間も居る。」と言います。コミュニケーションとはお互いが相手に対して想像力を働かせないといけないモノ!というコトが痛いほど伝わって来ます。

予告編で「みんな間違っている!」と村内が発言したシーンはそういう意味だったんですね。本気の言葉に本気で応えないことから苛めが始まっているという考え方は、ある意味“目から鱗”でした。己を振り返り、脳裏に思い出されることもありましたわ・・・(/・_・\)アチャ-・・ 村内が容赦なしに発する「それは卑怯だろ!」という言葉も胸に刺さりましたねぇ。

村内の過去の暗示させ方もさり気無く、また、そこに隠された真実がとても重く感じられるのは演出の賜物でしょう。この作品がデビュー作になる監督・中西健二はなかなかのテクニシャンです。トップシーンのカットの重ね方なんて上手いですし、地道に描かれる村内の仕草や衣装の見せ方なんかも丁寧で好感が持てます。園部の微妙な心情を表現する為の間の撮り方なんていかにも映画監督という感じです。それにしても、本郷奏多って子は上手いですねぇ!阿部寛もいつもの生命力過多の存在感を極力押し殺して、影の薄い印象を与えるのに成功している思います。

地味な作品で盛り上がりにも欠けますが、観て損の無い映画と言えるんじゃないでしょうか。


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