Deckard's Movie Diary
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2008年11月04日(火)  ボーダータウン/報道されない殺人者

『ボーダータウン/報道されない殺人者』
先日観た『リダクテッド』に続いて、これまた後味の悪い映画でした。しかし!世の中にこんなデタラメが野放しになっている世界がまだまだあるんですね。このような事実があることを恥ずかしながら全く知りませんでした。『女工哀歌』どころか『女工地獄』のような内容で、あまりに悲惨な状況に呆然としてしまいました。ジェニファー・ロペス(熱演!)演じる新聞記者・ローレンがキャリアアップの為に向かった場所はメキシコとアメリカの国境の街ファレス。搾取し、騙され、追い出され、何もかもを剥ぎ取られ、行く当てもなく未来への希望もない女達。この世の中で女性ってのは、つくづく不利な生き物なんだと痛感させられます。前半部のローレンの様変わりの描き方がイマイチ不十分なのが珠に瑕ですが、それでも観る価値のある映画です。この手の内容の映画だと、ラストが御都合主義になりがちなんですが、そこのところも上手に着地していて好感が持てました。

小生は“ボーダー”と聞くとエルトン・ジョンの初期の名曲『ボーダーソング/人生の壁』を思い浮かべてしまいます。あの曲は戦場での敵国兵士との遭遇を描いた歌だそうですが、“彼こそが私の兄弟。どうぞ我等に平和を与え給え”と、最後は前向きな姿勢が綴られています。しかし、戦争で敵国と対峙する以上の地獄がファレスで起こっているワケです。この映画の女性達に救いはありません。何故なら、このストーリーに登場する女工たちの敵は人間ではなく悪魔だからです!15年で5000人もの女性を毒牙にかけた悪魔!こんな悪魔が今日もまた首切り鎌を持って夜な夜な現われていると思うと胸が痛みます。我がまま代名詞になっているようなジェニファー・ロペス主演作ですが、良い映画ですよ。


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