彼は左官屋。 腕のいい左官屋。 いろんなものを、次々に作り上げてゆく。 固めてゆく。 たくさんのお家を作って、たくさんの人を住まわせた。 でも。 彼のお家は、嘘で塗り固めて作られている。 だから少しの障害にも、すぐに脆く崩れ去る。 分身して住んでいたたくさんの自分と向かい合い、今度こそはと意気込む。 はがれた嘘が、あちこちに飛び火して小さなぼやを起こす。 すぐに、消し止められる人もいればたくさんの部屋を失ってしまう人もいる。 確かにね。 いけないことだった。 自殺したという狂言。 でもね。 自分でも、コントロールできないって。 本当に、それが病気の影響だとしたら。 高熱でうなされている人を、責める人はいないよね? 「あんたが、熱なんか出すからいけないんだ!」なんてね。 それと、同じことじゃない? 違うのかな。 自分でも、どうすることもできなくてもがいているんじゃないのかな。 こんな時こそ、誰かの支えが必要なんじゃないのかな。 腕のいい左官屋は、持ってる道具も一級品じゃないとね!
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