2012年01月08日(日) |
文化祭終了(いまごろ) |
先日終了したオンライン文化祭について。
今回は小説部門の参加者さんが多数という事で、開催期間が二ヶ月となりました。
「二ヶ月あるから、作品読んで、分解したりなにやらしたりと、集中勉学期間にさせてもらおう」と思っていたのですが。 予想外の出来事。 まず、体調を崩しました。それも何度も。 原因がよくわからないのですが、冬になって生活環境が変わった事と、職場でのトラブルやイベントが重なった為、調子が狂ったのかもしれません。 とにかく起きてられなくて。 それと、文化祭の目的の一つでもある交流。 チャットに顔を出すためには我が家のPC部屋にいかなければならないのですが、こちらが震災以降、片づけ禁止&火気厳禁の部屋となってまして。簡単な作業やら更新やらなら耐えられますが、深夜のチャットにストーブなしで挑むのはちょっと……湯たんぽ抱えた時もあるんですが、本当にささやか。残念&断念。 そんなんで、当初は感想と作品分析を平行して行っていたのですが、十二月に入ってからは感想だけでも先にと書きはじめ、それも何度も寝込んだりを繰り返して。
本日、ようやく、全部を配信する事ができました。 本当に遅くなってもうしわけありませんでしたけど。 中身は……感想書くのが苦手なので、思ったままだったり妄想入ってたりで、どうにもアレな感じですが、笑って許してくださいとしか……orz
年賀状みたいにいっぺんに感想爆撃しようと自分の中でしばりを作ったのが一番の敗因ですけどね……orz
とにかく、みなさん個性的な作品が多くて、とにかくいろいろと勉強させていただきました。分析も含めて、今後も何度も読ませていただこうと思ってます。 本当に楽しい作品ばかりで、主催者さまにも作者さまにも感謝してます。 ありがとうございました。
そんなんで、最後に。 今回の自作についての解説といいますか制作秘話といいますかQ&Aといいますか、そんなものをチラホラ。 思ったより長くなってしまったので、興味ある方だけどうぞ。
今回の根底にあったのは、まず「夜」というテーマに沿って、夜である世界を作ることでした。 「夜」という状態がどんなものかという意味で「太陽のない状態」と考えまして。 単純に日食という現象を考えました。 この日食に合わせて、ダイソン球の事も考えたんですが、ダイソン球を作る材料がどこにあるんだという話になってしまうので、日光を遮る傘と考えました。 その時のイメージが、ガ○ダムにでてきたラヴィアン・ローズという施設でして。 なぜか私、あれがものすごく大きな施設だと思いこんでたんですね。書いてる最中に弟に「戦艦修理できる程度しかないよ」と言われて愕然としたのですが(笑) とにかく、ラヴィアン・ローズが太陽を抱え込むような姿が先にあって、傘の名前を〈ローズ〉と付けました。
次に、夜が続いて寒くなった地球がどうなるかと思って。 そこで、スノーボールアースという仮説があったと知りまして。 舞台が氷に覆われた世界ということに。
〈ローズ〉が作成された意味を考えた時、おそらく冷やすためだと考えたわけですが。 それが文明の暴走であり、文明によって〈ローズ〉が作られたと考えるのは容易でしたから、その文明について考えた時、赤茶けた荒野が浮かんだわけです。これまた単純に。
その時、私の頭に浮かんだのがコンフュージョンの「カウガール」という曲でして。 この曲の歌詞やイメージが大好きだったので、そこからまず画面が浮かびました。
歌詞を参考にできるサイトが見あたらないので、フレーズを少しだけ書かせていただきます。
「君は宇宙時代の途方にくれたカウガール」 「秘密の記念日にミサイルを放つ」 「そしてここにきて全てのスイッチ オフにして」 「今すぐはじまるフィクションに消えてゆく」
(あれ? 一番の歌詞のほとんどになっちゃった……orz)
このイメージ、本編を読んだ方にはすぐにわかると思います。
ここで主人公は女性と決めたのですが、スノーボールアースでの食料は何かと考えた時、ベリーなら寒冷地にもあると知ってベリーを。そしてその中の種類に「カウベリー」と呼ばれる種類があったので「カウガール」にひっかけて。 でも「植物もろくに育たないところに彼女が存在できる理由は? 文明の荒廃は?」と思った時、食べ物が無くても成長できる存在がいるんじゃないかと考えて。 その生き物は、文明保存の為に人間に似せて作られた。食べ物が無くて動力があるわけないから、何もない地面を食べられるものにしよう。 そして、彼らが人間の真似事をさせられ、人間と同じように生活し、いなくなった人間の代わりに人間の文明をとどめている。 それが現人類ですね。 じゃあ、人間はどこにいったのかというと、〈ローズ〉に行ったと。 この時点まで、〈ローズ〉はそこにあるだけで、人はカウガールを残して死に絶えたと思ってました。
それと、この時に浮かんだのが「1000人目の救世主」というネタでして。
実はこの日誌にもこのネタをメモしてあります。こちら(昔のブログの記事)の一番下です。 タイトルだけですが。2006年って!(自分でびっくり) ネタの段階では「1000人目が出現した瞬間、全人類が停止する」というネタでした。ある基準をクリアした人類が1000人を越えた時、人類を作ったナニカが人類の今後を検討し行動するまで放置されるというブラックなSFですね。サイトの作品の一部にリンクする予定だったのですが。
〈ドゥ〉は〈DO〉=〈動〉=〈同〉という意味で、人間と同じという意味で名付けました。
カウガールの協力者という事で〈ドゥ〉がいるけど、この二人を主従の関係にするのは、どうしてもイヤでした。 だったら、カウガールがこのスノーボールアースの女王ってことで良いじゃないですか。 それは社会への絶望にも似た狂気でミサイルを放つカウガールにはそぐわない。ありうるけれど、一匹狼のようなカウガールが女王としてミサイルを放つ社会性を持ってるイメージではなかった。 むしろ、〈ドゥ〉の中に放り込まれた異物であることの方が、宇宙時代の中に時代遅れで取り残されたカウガールに近しい。 そこで、〈ドゥ〉との関係が主従ではなく、やむにやまれぬ関係である事になりました。 もちろん、彼らが特別すぎるわけではないという意味で、いくつかのペアを登場させなきゃいけないと。
そして、やむにやまれぬ関係として、彼らの名前には法則性を持たせる事にしました。
そこで、「1000人目」=〈ドゥ〉を「フィン」と名付けました。映画のラストに出てくる「fin」をそのまま読んだだけですね。ラストという意味で。
カウガールに関しては、同じく終わりの意味でアグリとつけました。女の子が生まれすぎた家で、もう女の子はあきたからこれで終わりにしたいという意味でつけられた名前だと聞いた事があったもんですから。アグリカルチャーのアグリとか答えてるサイトがあって、それはちょとちがうだろうなと思いつつ、凍り付いた地球の大地母神的な意味でもいいかなと。
そんなんで、1000人目は「終わり」がテーマで。
キャロルとアリスは言うまでもなく不思議の国のアリスが元ですが、同時に「深淵への誘惑者」でもあります。
シグとニールは、ニーベルンゲンの指輪からですね。シグルドとニーベルンゲンから。「悲劇の勇者」でもあります。
そしてカールとグスタフはJ・G・ユングから。ユングとまともにやってしまうと失笑なので。これは「帰ってこれなかった探求者」ですね。
そんなんで、舞台が整いまして。
後は……とにかく、ミサイルを放つ場面を目指してツラツラと。
書いてるうちに、日食がどうしても夜とは思えなくなってきて、でも考えの根本にあるものだからはずせなくて。 悩みながらもとりあえず書ききろうと思っているうちに、アグリが言い出したんですよね。グスタフの狂気がグスタフの夜の、グスタフの満月のせいだって。 そこからバチンとパーツがはまったというか。 外も夜、そしてそれよりも暗い夜が内側にある! それで自分でも納得して、最後まで書ききる事ができたという感じです。
最終的にどうしてあんな事になったのかは、全くわかりません(笑) いや、話を作るときは、いつもそうなんですが。
それと、いくつかあった質問などもこちらにメモ。
●この星は地球と言ってる場面がありますが、太陽系第三惑星である地球ではありません。これは表記ミスで混乱させた方がいらっしゃるので申し訳ありませんでした。
●〈ローズ〉は、この星にあった月を元に作られたものだと想定します。だからアグリはコールドスリープ前に、天体としての月を目にしているわけです。ただ、その月の大きさが地球の月と同じ大きさとは限りませんし、太陽の大きさも違うかもしれません。同様に、太陽と月と地球との距離も違ってる可能性が高いです。第三惑星を元に考えるとバランスとれないかもしれませんが、脳内で補正してください(苦笑)
●この作品と前回参加作品「ハーメルンの黄昏」との関連を指摘された方がいらっしゃいました。想定はしてませんでしたが、十分にありうる話だと考えてます。「ハーメルン」に登場したコールドスリープのノウハウが、〈ローズ〉で使われたコールドスリープの技術の原型である考え方ですね。〈ローズ〉の時代はもっと遠い未来となってますが、考えようによっては、「ハーメルン」で起こった空間交差現象の余波が、この星を襲って人の住めない世界にした可能性もあります。物理現象の変化に関しては不明ですが、〈ドゥ〉の存在がありうる背景には、この空間交差現象の関与もありうるかもしれません。
そんな感じで。 今回の〈ローズ〉も、自分的な趣味全開で書かせていただきました。 あいかわらずSF的な部分よりもイメージ先行で書きましたので、「本格SF」と称されて恥ずかしいやらなにやらですが(モジモジ)
とにかく「面白い」と言っていただけただけで、感謝感激です。 本当にありがとうございました。
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