OK、ならば教えてあげよう。 僕らの義務についての、僕の勝手すぎる決意の事だ。
僕らは散々聞かされた。僕らの先の世代が背負った知的で痴的な戦争の話だ。 それはエンピツと紙とマークシートの戦争だ。 有名な邦画のワンシーンのように、すれ違う家族が横並びのテーブルに向かい合う事無く食事する、そんな歪んだ毎日の話を聞かされた。 僕らはまだ恵まれているのだと聞かされたんだ。
その恵まれている僕らに背負わされたのは、前の世代の残骸たる愚痴の山だ。 戦争の残骸に成り果てた彼らの世話だ。 ダメな両親を引き摺るアダルトチルドレン、重なり続ける共依存、入れ子細工のメサイアコンプレックス。 僕らが守り続けたのはそんなイビツな僕らの自我だ。
だから願う。だから決意する。 僕らは嘘をつく。 信じるものの為に嘘をつく。 状況は光に乗って一瞬にして届き、僕らの子供たちは世界を知り続ける。 人は嘘つきでダメなヤツばかりだと知る。 OK、君には百点をあげたい。その通りだといってやりたい。 だけど僕らは嘘をつく。 僕らはもう本当なんていらないんだ。 嘘でもいいんだ、信じたいし、信じさせたいんだ。 地球上に尊敬できるものを見つけてやりたいんだ。 だから僕らは嘘をつく。 僕らの見た事のない大人を見せてやりたいんだ。 僕らは嘘をつく。 子供たちが目を輝かせる嘘を、本当にあるのだと信じさせる嘘をつく。
僕らは詐欺師だ。 1%の嘘の為に、全力で99%を生きる。 僕らは嘘をつく。 1%の現実の為に、99%の正義をわめく。
僕らに嘘をつかせて。 99%の正しさを子供たちに見せて。 悲しい現実が1%になるように、全力で大人を演じさせて。 僕らのような犠牲を作らないように、子供たちを騙す力が欲しいんだ。 僕らの子供たちに疲れきった僕らを見せない力を。
OK、僕の決意をわかってくれたかな。 僕らは嘘をつくんだ。 1%の嘘の為に、99%の現実を全力で行くんだ。 1%の本当の為に、99%の嘘を全力で行くんだ。 これが僕ら大人の義務なんだ。 手前勝手な決意と義務なんだ。
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