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2003年07月17日(木) |
イノセント・ボーイズ |
1841年7月17日、イギリスの諷刺週刊誌 『パンチ・ロンドン・シャリヴァリ』発刊に因み、 7月17日は「漫画の日」だそうです。
イノセント・ボーイズ The Dangerous Lives of Altar Boys 2002年アメリカ ピーター・ケア監督 1991年、31歳の若さで亡くなったクリス・ファーマンが遺した “最初で最後の小説”を原作に、 ジョディー・フォスターが製作に乗り出しました。 (日本では、ハヤカワ文庫から『放課後のギャング団』のタイトルで 刊行されています)
カトリック系の中学校に通う14歳の少年、 フランシス・ドイル(エミール・ハーシュ)は、 親友のティム・サリバン(キーラン・カルキン)と、 ウェイド、ジョーイの2人を加えたワル仲間とともに、 説教ばかりしていけ好かない校長 シスター・アサンプタ(ジョディー・フォスター)に 一泡ふかせてやりたい、と考え、 乙女殉教者・聖アガタの石像を勝手に持ち出すなど、 アホに行動力が加わると、ろくなことがないなぁと 第三者(つまり映画の観客)をもうんざりさせるような いたずらを繰り返します。
ところで、フランシスには、コミック創作の才能がありました。 自分が生み出した、ちょっと風変わりなヒーローが 悪者たちをやっつけるという、ストーリーの単純さはともかく、 その悪者たちというのは、 シスターやケイリー神父(ヴィンセント・ドノフリオ)といった “恩師”を醜悪に戯画化したもので、 その画力はなかなかのものです。 これは、作中アニメ化されたものがたっぷり見られますが、 アニメの作画を担当したのは、 実写化もされた『スポーン』の原作でもおなじみのイケメンまんが家、 トッド・マクファーレンだそうです。
一方フランシスは、 マージー(ジェナ・マローン)という美少女と ティムのいたずらを“いいきっかけに”つき合い始め、 夢中になりますが、彼女のある告白に衝撃を受けます。 そして、それを自分の胸のうちにおさめておくことができず、 ティムに話してしまったことが、 結果的に悲劇の幕開けとなるのでした。
尼さんルックに身を包み、 スクーターで街を駆け抜けるジョディ・フォスターの図は、 ある意味、お宝映像かもしれません。 彼女扮するシスター・アサンプタは、 フランシスやティムをまさに目の仇にしますが、 「あの子たちはいい子だから、正しい方向に導きたい」 という信念によるものでした。 とはいえ、その了見の狭さはやはりいただけないので、 素直に耳を傾けられない、どころか 「一泡吹かせたい」と考えてしまう少年たちの思いも、 わからないではありません。
ただただ、 ここに描かれた「若気の至り」の代償の大きさには、 胸が詰まります。 結果的に愉快な思いは残りにくい作品ではありますし、 こういうタイプの映画の邦題に 「イノセント」という言葉を使ってしまうような点にも、 一種の鈍さというか、 紋切り型な感じを覚えないではありませんが、 (同じダサダサでも、「放課後の〜」云々の原作タイトルの方が まだ合っていた気がします) 若いエネルギーを持て余す少年たちの姿は 生き生きと描かれていたと思います。
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