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2003年05月02日(金) シカゴ

シカゴ Chicago
2002年アメリカ ロブ・マーシャル監督


お恥ずかしい話ですが、
私が住む福島県郡山市は、
「東北のシカゴ」の異名をとることがございます。
というのも、マル暴関係の方が
町の規模の割に多くお住まい(らしい)であることと、
結構物騒な事件が多く起こることに
起因しているそうですが、
最近は余り耳にしません(異名の方をね)。

私自身は、特に映画をいっぱい見るようになってからは、
ジョン・ヒューズの息がかかった青春映画とか、
チャーミングなラブコメディ『あなたが寝てる間に…』
舞台になったこととか、
あるいはコラムニストのボブ・グリーンの
ルーツがある町であることとか、
シカゴといえば、そこそこプラスのイメージで見てきました。
(そりゃ、アル・カポネの『アンタッチャブル』とかもありますが)

……といったこととは全く無関係に、
2002年度のアカデミー賞レースで
作品賞、助演女優賞などを受賞したのは、
犯罪も娯楽も何でもありの1920年代のシカゴを舞台にした、
そのものずばりのタイトル『シカゴ』でした。

美しく高慢ちきなショーガールの
ヴェルマ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、
仕事のパートナーでもある妹のヴェロニカが
マネージャーでもある自分の夫と情を通じたのに逆上し、
どすんと殺っちまいました。

一方、ショーガールに憧れる
人妻ロキシー(レニー・ゼルウィガー)は、
家具セールスの男と不倫関係にありましたが、
この男が、ショービズの世界にコネがあると
だましていたことに腹を立て、
カッとなって射殺してしまいました。
最初はロキシーの夫エイモス(ジョン・C.ライリー)が
罪をかぶろうと画策しますが、
何しろ、どちらもあんまりオツムがよろしくないので、
すぐにうそがばれてしまいました。

ヴェルマとロキシーは、
後に同じ刑務所で顔を合わせます。
2人とも、女性被告人を無罪にすることにかけては定評のある
悪徳弁護士ビリー(リチャード・ギア)に依頼し、
何とか自由の身になって、
ついでに「人殺し」の自分という境遇を
ショービズに生かして返り咲くことを考えます。
つまり、2人とも、人を殺してしまったことについて
微塵も反省や後悔を感じていない点で
共通していました。
そういう2人なので、当然嫌い合っています。
そして、ビリーはビリーで、
(この2人を含め)いい金づるたる女たちをダシに、
金儲けと売名に精を出しているようにさえ見えます。
醜い足の引っ張り合いの末、
最後に笑ったのは誰でしょうか?

ゼタ=ジョーンズのすごみは芸術的だし、
ゼルウィガーは、まんまマリリン・モンローみたいな
コケティッシュな感じが全くイヤミがないし、
リチャード・ギアの、下手になった
ナット“キング”コールみたいな歌声も悪くなく、
ジョン・C.ライリーの情けない男ぶりも、
いつもながらお見事でした。
また、出番こそ少ないものの、
『チャーリーズ・エンジェル』や
『アリー・マクビール』でもおなじみの
東洋系美女ルーシー・リューも、
インパクトある演技を見せています。

舞台ミュージカルの映画化とのことで、
生きのいい音楽とダンスの雨あられなので、
ミュージカル方面はどうも苦手という方には勧められないものの、
理屈抜きに楽しめる、非常にカラフルな作品ではあります。
というか、理屈で考え出すと、
人を殺めるということを余りにも軽く扱っているため、
道義的にどうなんだろうと考え込んでしまう可能性もあるので、
「何も考えないで楽しむ」のが一番かと思います。


ユリノキマリ |MAILHomePage