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シカゴ Chicago 2002年アメリカ ロブ・マーシャル監督
お恥ずかしい話ですが、 私が住む福島県郡山市は、 「東北のシカゴ」の異名をとることがございます。 というのも、マル暴関係の方が 町の規模の割に多くお住まい(らしい)であることと、 結構物騒な事件が多く起こることに 起因しているそうですが、 最近は余り耳にしません(異名の方をね)。
私自身は、特に映画をいっぱい見るようになってからは、 ジョン・ヒューズの息がかかった青春映画とか、 チャーミングなラブコメディ『あなたが寝てる間に…』の 舞台になったこととか、 あるいはコラムニストのボブ・グリーンの ルーツがある町であることとか、 シカゴといえば、そこそこプラスのイメージで見てきました。 (そりゃ、アル・カポネの『アンタッチャブル』とかもありますが)
……といったこととは全く無関係に、 2002年度のアカデミー賞レースで 作品賞、助演女優賞などを受賞したのは、 犯罪も娯楽も何でもありの1920年代のシカゴを舞台にした、 そのものずばりのタイトル『シカゴ』でした。
美しく高慢ちきなショーガールの ヴェルマ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、 仕事のパートナーでもある妹のヴェロニカが マネージャーでもある自分の夫と情を通じたのに逆上し、 どすんと殺っちまいました。
一方、ショーガールに憧れる 人妻ロキシー(レニー・ゼルウィガー)は、 家具セールスの男と不倫関係にありましたが、 この男が、ショービズの世界にコネがあると だましていたことに腹を立て、 カッとなって射殺してしまいました。 最初はロキシーの夫エイモス(ジョン・C.ライリー)が 罪をかぶろうと画策しますが、 何しろ、どちらもあんまりオツムがよろしくないので、 すぐにうそがばれてしまいました。
ヴェルマとロキシーは、 後に同じ刑務所で顔を合わせます。 2人とも、女性被告人を無罪にすることにかけては定評のある 悪徳弁護士ビリー(リチャード・ギア)に依頼し、 何とか自由の身になって、 ついでに「人殺し」の自分という境遇を ショービズに生かして返り咲くことを考えます。 つまり、2人とも、人を殺してしまったことについて 微塵も反省や後悔を感じていない点で 共通していました。 そういう2人なので、当然嫌い合っています。 そして、ビリーはビリーで、 (この2人を含め)いい金づるたる女たちをダシに、 金儲けと売名に精を出しているようにさえ見えます。 醜い足の引っ張り合いの末、 最後に笑ったのは誰でしょうか?
ゼタ=ジョーンズのすごみは芸術的だし、 ゼルウィガーは、まんまマリリン・モンローみたいな コケティッシュな感じが全くイヤミがないし、 リチャード・ギアの、下手になった ナット“キング”コールみたいな歌声も悪くなく、 ジョン・C.ライリーの情けない男ぶりも、 いつもながらお見事でした。 また、出番こそ少ないものの、 『チャーリーズ・エンジェル』や 『アリー・マクビール』でもおなじみの 東洋系美女ルーシー・リューも、 インパクトある演技を見せています。
舞台ミュージカルの映画化とのことで、 生きのいい音楽とダンスの雨あられなので、 ミュージカル方面はどうも苦手という方には勧められないものの、 理屈抜きに楽しめる、非常にカラフルな作品ではあります。 というか、理屈で考え出すと、 人を殺めるということを余りにも軽く扱っているため、 道義的にどうなんだろうと考え込んでしまう可能性もあるので、 「何も考えないで楽しむ」のが一番かと思います。
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