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2003年01月21日(火) パリのレストラン

パリのレストラン
Au Petit Marguery

1995年フランス ローラン・ベネギ監督


映画と料理はよく似ています。

素材は抜群!あとは料理の腕次第、
そういう映画がよくあります。
(というか、大抵の映画は大なり小なりそうですね。
素材というのは、テーマだったりキャストだったりいろいろですが)

素材がよくて調理に失敗した作品は、
紹介文やらプロのレビューやらを読んで大いに期待し、
「金返せ」と言うはめになりますが、
本日御紹介する映画は、
製作に携わった人の腕が確かだったようで、
心に残る逸品でした。

パリのとある片隅で30年間、
レストランAu Petit Margueryを切り盛りしてきた夫婦と、
彼らの息子、レストラン開業時の一番客、
そして、バラエティー豊かな常連客たちが織りなす
ところどころにユーモアをにじませた
しっとりした人間ドラマです。
夫婦がレストランを諸々の事情で廃業することになったとき、
常連客だけを招いたさよならパーティーの場面と同時進行で、
彼らの30年分の数々のエピソードが、
少しずつよみがえってくるのでした。
そして、それは決して幸せなものばかりではありませんでした。
とはいえ、人を滅入らせるような、
不幸の塩漬けのようなエピソードというではなく、
よくある話だったり、世相をさりげなく反映していたり、
妙に心温まるものだったりして、
優しげだけれど訳ありなお年寄りが、
脈絡なく思いついたことを話してくれているような、
そんな味わいがありました。

(フランス語解らないくせにナンですが)
セリフもおフランスらしく小粋なものがそろっています。
中でも気に入ったのは、
ある病気になったレストランのシェフに手術を勧める医者の一言、
「病院では私がシェフよ」
そして、シェフの料理に文句をつける言語学者の一言など、
「私は言語学者だ。舌には自信がある」
なぜか、偶然とはいえ職業に根差したたものばかりでした。
気になる方は、ぜひとも見て確認してみてくださいませ。
(または、このパラグム中のブランクの部分をこすると、
そのセリフに当たる日本語が書いてあります)


ちなみに本日1月21日は、
「料理番組の日」だそうです。
1937年イギリスBBCで、世界最古と思われる料理番組が放送され、
オムレツの作り方が披露されたとか。


ユリノキマリ |MAILHomePage