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2002年11月07日(木) 十二人の優しい日本人

本日11月7日から、国産品認識週間なんだそうです。
(ちなみに、11月13日まで)
では、9月10日の『羅生門』以来取り上げていなかった
日本映画にしましょう。

十二人の優しい日本人 Gentle 12
1991年 中原俊監督


タイトルからわかるように、
1957年のアメリカ映画の傑作『十二人の怒れる男』
パロディー作品です。
脚本は、まだ若かりし日の三谷幸喜でした。

現在の日本には陪審制はありませんから、
ある意味パラレルワールドといってもいい設定ですが、
与太話は与太話なりに何かを生み出していくものだと
拙いディスカッション(らしきもの)には興味深い点もありました。

元夫殺害の罪で、ある女性が裁判にかけられ、
彼女が有罪か無罪かの判断が陪審の俎上にのります。
どちらかというと、「もう無罪でいいっしょー」モードの11人に対し、
(何しろ、面倒くさいから…)
第二陪審員(相島一之)だけが、
もっと話し合おうと食い下がります。
最初は「この人、オリジナル版のヘンリー・フォンダ的役か?」
と思わせますが、
だんだんと妙に感情的な偏見じみた意見も言うようになります。

全員の意見が一致しなければ終了できないので、
この第二陪審員は、ほかの連中は迷惑がられます。
しかし、謎解きの楽しさもあり(というのも、不謹慎な話ですが)、
だんだんと、裁判での各種発言・証言を検証したり、
意外な人が、意外な発想から大ヒントを見出したりして、
次第に核心に迫ってゆき…

これは、以前運営していたMLの会員さんからの
お勧めをいただいて見ました。
最初は、もともと舞台劇だったというせいもありましょうが、
役者さんたちのオーバーアクトがちょっと鼻について、
最後まで見られるかなぁとまで思ったほどでした。
けれども、タイトルにあえて「日本人」が入っているように、
「もしも日本に陪審制度があったら」という架空の話にしたことに
きちんと意味が見出せる作品ではありました。
なるほど、議論慣れしていない(と言われる)日本人が話し合うと、
こんなふうになるかもなあと思わせるような
妙にトホホな説得力があります。

そういえば、オリジナルが『怒れる男』なのに対し、
さすがに90年代の日本においては、
陪審員の中には当然女性も含まれていました。
(幸せボケの主婦と、お見合いサークルに登録している
もてなそうな女性という設定は、ちょっとアンマリですが)

今やびっくりするほど有名になった「あの俳優」が、
第十一陪審員を演じているのも、今となってはお宝映像です。


ユリノキマリ |MAILHomePage