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2002年09月24日(火) プリティ・プリンセス

最近、ビデオショップで、
「プリティ・ピンク」なる勝手な3部作をでっち上げ、
売り出そうとしている商魂たくましいタペストリーをよく見かけますが、
その3作とは(いずれも20世紀フォックス)
近々リリース予定の「キューティー・ブロンド」「愛しのローズマリー」、
そして、旧作ですが「メリーに首ったけ」だそうです。
(『メリー…』に至っては、『…ローズマリー』と抱き合わせで
DVD再発売の予定もあるとか)
『キューティーブロンド』というトンチンカンな邦題をつけておきながら、
(ちなみに原題は“Legally Blonde”、法学生の話ですものね)
今度は「プリティ」で売り出そうというのもよくわかりませんが、
「ピンクの似合うかわいいヒロイン」ならば、
既に16年も前にモリー・リングウォルドがやっているじゃないか!という
(1986年『ブリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角』)
ツッコミを差し挟む余地も与えず、やってくれちゃうようです。

プリティといえば、せっかくいい原題があるというのに、
監督が「あの人」だったばかりに、プリティ邦題にされてしまった
こんな映画もあります。

プリティ・プリンセス The Princess Diaries
2001年アメリカ ゲイリー・マーシャル監督


原題直訳すれば、「王女の日記」。
もちろん、映画の中で日記はちょっとしたポイントになっています。
タイトでそれでいてかわいらしく、想像力をかき立てる
いいタイトルではありませんか。
それがなぜか“プリティ”シリーズになってしまったのは、
すべてG.マーシャルの旧作『プリティ・ウーマン』が悪いのです。
Runaway Brideも『プリティ・ブライド』ですしね。
そして、もっと気の毒なのは、妹に当たるペニー・マーシャル監督の
A League of Their Ownまでが『プリティ・リーグ』にされたことです。
(ジュリエット・リュイス主演の『カーラの結婚宣言 The Other Sister』が、
『プリティ・シスター』や『プリティ・ウェディング』じゃなくて本当によかったと思います)


たまたま自分の父親が欧州某国の皇太子だったばかりに、
アメリカ・サンフランシスコの平凡な女子高生ミア(アン・ハサウェイ)が、
その顔も知らぬ父の死後、王位継承権があることを突然突きつけられ、
にわかに王女修行することになる…というさまを
コミカルに見せてくれたこの作品は、
どちらかというと、由緒正しいアメリカ学園映画として見た方が
よりわかりやすいかと思います。よくも悪くも「典型」でした。

ラーメンズの片桐仁もびっくりの、ひっからまったヘアスタイルに、
少なくともおしゃれの意図でかけているとは思えないメガネ、
あどけない、好感の持てる少女ではあるけれど、
プリンセスとしての品格には程遠く、こいつ大丈夫かと思いつつ、
ミアの祖母に当たる女王クラリス(ジュリー・アンドリュース)は、
極秘裏に彼女を磨き上げ、
王女として恥ずかしくないタマに仕立てようとしますが、
意外なところから、彼女の王位継承話が世間にリークされてしまい、
それまで学校でも1,2を争う恥かきっ子だったミアは、
一躍、学園一のアイドルになってしまうのですが……

アン・ハサウェイ自身が、
とってもわかりやすいタイプの「かわいげのある美人顔」なので、
冴えないだのブスだのと言われて、映画を見る側のマナーとして、
「そういうことにしておいてやろう」という気にさえならないのがナンだし、
それ以外にも、ツッコミどころも山ほどある作品ではありますが、
大好きな母親との気楽な生活に満足していたはずのミアが、
王位を継ぐためのお姫様修行を決意するくだりや、
彼女を護衛する保安局長のジョー(ヘクター・エリゾンドー)など、
魅力的な要素もたっぷりありました。
正直言って、初めて見たときは、
「テレビでたくさんだな、こういう話は」と思ったのですが、
今はちょっとニュアンスが違い、
「早くテレビで見たいな。アン・ハサウェイの声、松本梨花とかで」
というふうに思うようになりました。
(実際、ビデオやDVDでは誰だったのでしょうか)
抜群の出来とは言い難いものの、ビデオショップで数カ月ぶりに再会し、
あら、また見てみようかしら?という気にはなりました。

※ヘクター・エリゾンドー
1982年『病院狂時代』の昔から、G.マーシャル映画の常連
……とはいえ、最初はかなり影が薄く、クレジットなしの出演も多いようです。
ジュリア・ロバーツのよきアドバイザーでもあるホテル支配人役の
『プリティ・ウーマン』あたりで辛うじて認知された感じかも。
個人的には、『カーラの結婚宣言』での
ジョバンニ・リビシーの兄貴分(というか父親がわり)みたいな役が
特に印象深かったと思います。


ユリノキマリ |MAILHomePage