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2002年09月20日(金) カルラの歌

9月20日は、
1903年の日本初の路線バス営業(京都)に因み、
1987年に日本バス協会が制定したバスの日だそうです。
じゃ、もうこれしかありません(独断)。

カルラの歌 Carla's Song
1996年イギリス ケン・ローチ監督


ロバート・カーライルという役者は、
イギリス人ではありますが、
およそ“ノーブル”というのが演じられそうもない人です。
(コスプレものであっても
泥棒役だったりするし……紳士怪盗だけど)
スコットランドはグラスゴーの
バリバリの労働者階級の出身で、
映画でもそういう役がほとんどですが、
似たような役であっても、存在感はいつもと同じでも、
いつもどこかしら違った魅力を見せてくれる人でもあります。
……というか、ファンなので、つい評価が大甘になりますが。

舞台は1987年のスコットランド。
この映画で、彼はバスの運転手ジョージを演じていました。
気のいい男ですが、勤務ぶりは満点とはいえず、
時にはかなり乱暴な運転もしました。

ある日、無賃乗車でつかまりそうになった
外国人女性・カルラ(オヤンカ・カベサス)をかばいます。
そのことに感謝した彼女は、停職処分になったジョージを
プレゼントを持って訪ねてきました。
それ以来、婚約している女性がいながら、彼女が気になって、
時には運転中のバスを私物化し、
カルラを湖まで連れていったりしました。

カルラはニカラグア出身でした。
ニカラグアという国について、ほとんど知識のないジョージは、
まだ学生である妹に、かの国がどんなに政治的に複雑か
軽いレクチャーを受けたりしているうちに、
国に帰ることになった彼女と行動をともにする決意をしますが…

とにかく、
「おんもに出たカーライル」という風情が新鮮でした。
それまでは、失業者だったり、失業者予備軍だったりで、
(あ、ちなみに、バス私物化等が問題になり、
この映画でもやっぱり仕事をクビになります…)
自分の国、自分の問題で
いっぱいいっぱいという役が多かったけれど、
女性を愛したことがきっかけで、
世界の構成要素の一片に触れ、
驚いたり、おののいたりしている普通の男を
好演していました。

また、環境劣悪なところで暮らしているカルラを見かね、
友人サミー(ゲイリー・ルイス)に、
彼女に部屋を貸すように頼みますが、
気のいいサミーは、
婚約者そっちのけでカルラの世話を焼くジョージを
心配しながらも、
時にはエプロン姿で2人に料理を振る舞ったりもします。
『リトル・ダンサー』では、
「バレエなんて、オカマのすることだ!」と
偏見ギンギンのガンコ親父を演じたルイスですが、
この映画では、エプロン姿を笑われても、
「本物の男はエプロンをするものだ」などと
胸を張ったりします。こういうの、いいなぁ…。
 


ユリノキマリ |MAILHomePage