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2002年08月15日(木) テイラー・オブ・パナマ

8月15日は、パナマ・シティ創設記念日です。
これは、パナマの首都であるシティのみの祝日だそうですが、
パナマといえば、最近、こんな映画がありました。

テイラー・オブ・パナマ The Tailor of Panama
2001年アメリカ ジョン・ブアマン監督


『エメラルド・フォレスト』『戦場の小さな天使たち』などで知られる
J.ブアマン監督作品ですが、製作総指揮に当たったのは、
スパイ小説でおなじみの作家ジョン・ル・カレだそうです。

女性問題によりパナマに左遷させられた英国諜報部員
アンディ・オズナード(ピアーズ・ブロスナン)は、
諜報活動のために、ハリー・ペンドル(ジェフリー・ラッシュ)という
イギリス人の仕立屋(つまりTailor)に目をつけます。
仕事柄、高官や王室とも少し接触があることと、
前科者である過去を、妻(ジェーミー・リー・カーティス)にも
打ち明けていないという後ろ暗さが、
脅しをかけてしゃべらせるのにぴったりだったためです。

最初は拒否するハリーでしたが、実は彼は大嘘つきでした。
情報を求められれば、あることないことでっちあげるのです。
その上、結構ちゃっかりしていて、
今はもう勢力を失っている、ノリエガ圧政時代の政治活動家だった
友人ミッキー(ブレンダン・グリースン)の借金返済のための金を、
「活動資金」と称してアンディから巻き上げようとするほどでした。

もとの地位に返り咲きたいというスケベ根性もあり、
アンディが、ハリー提供のパナマ運河に関する超弩級の情報を
利用したばかりに、嘘から出たまことの、
まさにシャレにならない状態に陥り……

最初にこの映画のことを知ったとき、
きっと「Tailor」と「Taler(語り部)」をひっかけたんだろうなと
勝手に一人判断しましたが、
そうではなく、Tailorに「話を仕立てる人」の意味も持たせたようです。
やはりノリエガ時代の闘士だったマルタ(レオノラ・バレラ)という女性が、
ハリーの仕立屋を手伝っていますが、
彼を称して「あなたはTailorではなくてDreamer(夢見る人)だ」と言う
シーンがありました。
ちょっと聞きには、保身のためにちょこちょこと嘘をついて、
虚勢を張ってきた卑小な男……に思えるハリーですが、
実は、愛すべきロマンチストでもあることが窺われます。
そもそも発音が全く違うというのに、よくもまあこういう一人判断ができたものです。


P.ブロスナンの伊達スパイぶりは、
まるで「007」のセルフパロディのようですが、
ただのスキだらけのニヤケ男にも見えなくもないので、
よくあれでスパイが務まるものだと思ってしまいます。
対して、J.ラッシュは文句のつけられないすばらしさ。
前科持ちで、嘘つきで、臆病で、その上マイホームパパの一面も持つ
仕立屋という役どころを、説得力をもって演じていました。
ちなみに、ハリーには子供が2人いましたが、
兄マーク役を、『ハリ・ーポッター』でスターになったダニエル・ラドクリフ
妹サラ役を、ブアマン監督の実子ローラ・ブアマンが演じています。
考えてみたら、妻J.L.カーティスは、
『トゥルーライズ』に続き、“スパイの夫”にだまされる役は2度目?
ムダに巨乳で、個性的な美貌の持ち主ですが、
意外とそういうお人好しっぽい役もイケるのが強みでしょうか。


ユリノキマリ |MAILHomePage