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2002年07月31日(水) あの頃ペニー・レインと

あの頃ペニー・レインと Almost Famous
2000年アメリカ キャメロン・クロウ監督

映画作品群を乱暴に2つに分けるとすれば、
「嫌いと言うのに勇気の要る作品」と、
「好きと言うのが憚られる作品」が
ありますが、
この作品は、「胸を張って好きと言える作品」でした。
つまり「嫌いというのに(以下略)」に入れてもよさそうですが、
確かに、少なくとも「私にとっては」そういう分類ができなくもありません。
というのも、この映画自体は好きなんですが、
ある重要な部分が大嫌いなので、
おかげで完璧に堪能することができなかったからです。

1970年代、アメリカ。
ちょっと変わり者の大学教員エレイン(フランシス・マクドーマンド)を
母に持つウィリアム(パトリック・フィジット)は、
持ち前の聡明さで学校を飛び級(というよりはフライング)し、
母と衝突した姉アニタ(ゾーイ・デシャネル)の影響で
ロック好きになります。

ローカル紙に載った音楽評論が、
人気ライター、レスター(フィリップ・シーモア・ホフマン)に認められ、
名門誌『ローリング・ストーン』の依頼で、
ブレイク寸前(Almost Famous)のバンド、スティルウォーターのツアーに
同行することになりますが、実はウィリアムは、まだ15歳でした。

そんなツアーの中での、
いわゆるただの追っかけかと思いきや、
「グルーピーではなくてミューズ」だと自称する
謎めいた娘ペニー・レイン(ケイト・ハドソン)への淡い恋心や、
バンドのフロントマン、ラッセル(ビリー・クラダップ)との間に芽生えた
年齢も立場も超えた友情など、
甘酸っぱくて苦く、余りにも目まぐるしい、ある青春のヒトコマを描いた、
監督キャメロン・クロウの自伝的作品…なのですが、
この映画を堪能するためには、
映画の中でも多分、最も愛すべき存在であるものに対して
感情移入できるかどうか……とまではいかなくても、
好ましいと思えるかどうか、その辺が勝負の分かれ目ですが、
実は私にとって、その愛すべき対象が最も嫌悪すべき対象だったため、
「こいつさえいなきゃ満点なのに」とさえ思ってしまいました。
というか、その存在自体は「いなきゃ困る」のかもしれませんが、
本当に幻のような存在だったら、もっと映画が好きになれた気がします。

音楽が絡んだ小ネタでちょこちょこと笑わせてくれたり、
脇のキャラクター(ジェイソン・リーファルーザ・バーグ等)が
なかなかいい味わいを醸し出していたり、
感覚的には非常に「身近な映画」という印象なのですが、
「セーシュンは、遠きにありて思うもの、
そしてそして悲しくうたふもの」

などと、柄にもなくひねってみたくなる(これじゃ単なる盗作)
そんな作品でした。

1つ不満をいえば、ラッセルの本命の彼女、
もっとマシな人いなかったのかしら?と思いました。
ミュージシャンたるもの、港港に女アリというのはありがちですが、
そんな彼が特別視する女性とは、とても思えなかったのです。


ユリノキマリ |MAILHomePage