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1月22日、 イギリスの俳優ジョン・ハートが生まれました(1940年)。 東洋人にもいそうな顔だちで、不思議に印象に残る性格俳優ですが、 近作では、『コレリ大尉のマンドリン』のペネロペ・クルズの父、 『ハリー・ポッターと賢者の石』の“杖屋のおじさん”なども おなじみですね。 でも、本日はこちらにさせていただきました。 (『コレリ大尉…』も『ハリポタ』も取り上げ済みだったので…)
エレファントマン The Elephant Man 1980年イギリス/アメリカ デビッド・リンチ監督
公開当時は、その素材やグロテスクな表現ゆえ、 せっかくのヒューマニズムを欺瞞的に感じさせたほどの怪作でしたが、 今見直したら、別な発見もあるかもしれません。
19世紀も終盤のロンドンで、「エレファントマン(象男)」の呼称で 見世物小屋で見せ物として働いている男がいました。 彼はジョン・メリック(ジョン・ハート)という名で 母親が妊娠中に象に腹を踏まれるという事故から、 (この辺が無茶ですけど) 人間でありながら、象のような風貌になってしまったのでした。 口をまともに利こうとしないこともあり、 人間の“脳”は持ち合わせていないだろうと思われていた彼ですが、 彼に興味を持った医者(アンソニー・ホプキンス)の研究の結果、 非常に高い知能と、温かな人間性を持ち合わせていることに 気づかされました…
この映画のプロデューサーは、コメディアンのメル・ブルックスです。 もしもD.リンチではなく、この人が自らメガホンをとっていたら、 何か別な映画になっていたろうなと容易に想像できます。 そして、もっともっとある意味グロテスクでブラックになっていたかも… M.ブルックスの奥様、アン・バンクロフトも、 ジョン・メリックに興味を持つ大女優という役どころで出演し、 彼とシェークスピアを読み合わせたりするシーンがありました。
「知能が高いから尊ぶべき」という傲慢な発想を肯定している、 ちょっと安っぽい映画だなという印象も、ないではないのですが、 何しろあの変態ぶりに定評のあるD・リンチ監督作ですから、 彼が本当に言いたかったのは、そういうことではないかも…とか、 いろいろ考えながら見られます。 嫌な性格の奴はとことん嫌な奴で、いい人は心も体も美しいという 非常にわかりいいキャラ設定も、おとぎ話のようでいいですね。 ここで「複雑な人間性」や、「心のひだひだ」を持ち出されると、 かえってうそっぽくなっていた気がします。 D.リンチ監督作品の中ではとっつきやすいことも事実です…。
余談ですが、『彼女がステキな理由 The Tall Guy』(1989年)で、 ジェフ・ゴールドブラムが売れない役者役だったのですが、 『エレファントマン』の舞台ミュージカル版出演のチャンスを得るという エピソードがありました。 その中で笑ってしまったのが、エージェントの 「多分タイトルは、『エレファント!』みたいになると思う」 という台詞でした。 ミュージカルのタイトルって、確かに感嘆詞のついたのがありますね。 『サラフィナ!』とか。
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