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1946年の今日、NHK(ラジオ)の 「素人のど自慢」がスタートしました。 そんなわけで、今日はのど自慢の日、 そして転じてカラオケの日でもあるそうです。 では、素直にこちらの作品を。
のど自慢 Amateur Singing Contest
1998年日本 ビデオ&DVD あり(ポニーキャニオン) 製作 李鳳宇/石原仁美/根岸洋之 監督 井筒和幸 脚本 井筒和幸/安倍照男
毎週日曜日、高らかな採点の鐘とアコーディオンの音を聞きながら、 お昼を召し上がっている方もいらっしゃるのでは?
NHKの「のど自慢」公開予選会&本番を前に、 出場を目指す人々の熱気で盛り上がる群馬県桐生市を舞台に、 ちょっと泥臭いけれど、丁寧に誠実につくられた、 気持ちのいいヒューマンコメディーです。
プロデューサーがこの番組を映画のモチーフにしようとしたのは、 阪神大震災の後、まだ災禍の傷跡深いあの町の食堂で、 お昼に番組を見ながら、あいつは下手だ、こいつはうまい…と、 適当な批評を交えつつ、楽しそうに話す人々の姿を見たことだったと、 公開当時の記事で読みました。 歌には、何か人々に活力を与えるものがあるのだろうと、 感じ入ったとのこと。 挑戦するのは本当にいろいろな年齢、境遇の人たちですが、 何かしら抱えているものがあり、それを打破したいと考えていたりして、 ちょっと和製『フル・モンティ』の趣がありました。
前述の記事には、 「桐生市クラス(去年11月末時点で人口約11万7000人)の町が、 最ものど自慢に向く」 ともありました。 それよりも大きな都市だと、 どうもそういうイベントへの反応がクールで盛り上がらないし、 小さな町だと、「おらがまちの祭り」のノリで、 盛り上がりの方向がちょっと違ってきてしまうのだということです。 私は桐生はおろか、 群馬県という場所にも1度も行ったことがありませんが、 町の雰囲気は非常によく伝わってきたと思います。
また、余談ではありますが、 群馬県自体が、非常に映画製作に協力的な土地柄らしいですね。 某大林監督作品で、主人公のモデルの生まれ故郷でありながら、 許可が下りなかったばかりに隣県でのロケになってしまった…という 福島在住の者としては、非常にうらやましい限りです。
売れない演歌歌手・赤城麗子を室井滋が、 商才がなく、次々と商売替えをする「カラオケだけが取り柄」の男を 大友康平が、 それぞれ好演しているのを初め、 コメディーセンスのある達者な皆さんが、 安心して見られる演技を披露なさっています。 (個人的には、麗子が営業で行くCD店の息子を演じた 近藤芳正がいい感じだったと思います)
ふだん邦画はちょっと合わないと思っていらっしゃる方にこそ、 ぜひともお勧めしたい1本です。 洋画並みというよりは、 日本映画ならではのよさを実感できると思いますので。
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