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さて、1月2日といえば、初夢ですね。 と言いつつ、自分の見た初夢がどうしても思い出せないのですが、 「夢っぽい映画」ということで(「夢のような」ではなくて)こちらを。
ルナ・パパ Luna Papa 1999年ドイツ=オーストリア=日本 バフティヤル・フドイナザーロフ監督
まことに映画的というべきか、 辛うじて理屈に合った現象の範囲内にとどまっている夢を、 延々と見せられているような気分になりました。 適切でないかもしれませんが、明晰夢という印象もあります。
戦乱のタジキスタンが舞台です。 (外務省のランクづけを調べたら危険度4) はずみでたまたま「結ばれてしまった」男の子供を身籠もった若い娘が、 頑固な父と、知的障碍のある兄を伴って、 お腹の子供の父親探しをする物語ですが、 ところどころにお腹の赤ん坊のナレーションが差し挟まれます。 イスラム圏らしい倫理観に基づいて、 娘は人々の偏見や好奇の目にさらされ、 絶望して自殺を図ろうともしますが……
主人公マムラカット(国家、の意味とか)を演じた チュルパン・ハマートバという女優が、 とにかく愛らしい魅力に満ちていました。
嫌でも難航が予想される父親探しの描写が 冗長でなくてよかったと思います。 (といっても、人によって感じ方はさまざまでしょうけど) 全編を通して、美しき冗談映画とでもいおうか、 “現実”というしっかりしたベースを持ったファンタジーでした。 『ブリキの太鼓』あたりをほうふつとさせるところもありますが、 あの映画から独特のグロテスクさを抜いた感じです。
そういえば、この映画もドイツ資本で撮られているし、 ドイツ人の役者さんもずいぶん使っているようです。 大まじめにボケをかますというのも、ひょっとしてドイツ的かも。
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