Dailymovie
DiaryINDEXpastwill


2002年01月02日(水) ルナ・パパ

さて、1月2日といえば、初夢ですね。
と言いつつ、自分の見た初夢がどうしても思い出せないのですが、
「夢っぽい映画」ということで(「夢のような」ではなくて)こちらを。

ルナ・パパ Luna Papa
1999年ドイツ=オーストリア=日本
バフティヤル・フドイナザーロフ監督


まことに映画的というべきか、
辛うじて理屈に合った現象の範囲内にとどまっている夢を、
延々と見せられているような気分になりました。
適切でないかもしれませんが、明晰夢という印象もあります。

戦乱のタジキスタンが舞台です。
(外務省のランクづけを調べたら危険度4)
はずみでたまたま「結ばれてしまった」男の子供を身籠もった若い娘が、
頑固な父と、知的障碍のある兄を伴って、
お腹の子供の父親探しをする物語ですが、
ところどころにお腹の赤ん坊のナレーションが差し挟まれます。
イスラム圏らしい倫理観に基づいて、
娘は人々の偏見や好奇の目にさらされ、
絶望して自殺を図ろうともしますが……

主人公マムラカット(国家、の意味とか)を演じた
チュルパン・ハマートバという女優が、
とにかく愛らしい魅力に満ちていました。

嫌でも難航が予想される父親探しの描写が
冗長でなくてよかったと思います。
(といっても、人によって感じ方はさまざまでしょうけど)
全編を通して、美しき冗談映画とでもいおうか、
“現実”というしっかりしたベースを持ったファンタジーでした。
『ブリキの太鼓』あたりをほうふつとさせるところもありますが、
あの映画から独特のグロテスクさを抜いた感じです。

そういえば、この映画もドイツ資本で撮られているし、
ドイツ人の役者さんもずいぶん使っているようです。
大まじめにボケをかますというのも、ひょっとしてドイツ的かも。


ユリノキマリ |MAILHomePage