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2001年11月18日(日) キッド(2000年)

本日11月18日の花は「百合(Lily)」ということで、
ベテラン女優 Lily Tomlin(リリー・トムリン)の出演作から、
次の映画を選んでみました。

キッド The Kid
2000年アメリカ ジョン・タートルトーブ監督


肥満児で弱かった子供時代の自分を否定するように、
しゃかりきに頑張って仕事で成功したラス(ブルース・ウィリス)は、
ある日、自宅に見知らぬ少年が無断で入り込んでいるのに気づき、
後を追うのですが、とらえてみたら、その少年こそ、
自分が忌み嫌う少年時代(8歳)の自分でした。
ちびラスと接するうち、成功したと思っていた自分は、
実は幼少期に憧れていたような大人にはなれてなかったこと、
そして、自分が32年前にし忘れたあることに気づくのでした……

無難なようで、こんなに好き嫌いの分かれる映画も珍しいでしょう。
私はもう大好きで、ちょっと心が脆くなっているときに
あるシーンを思い出すと、それだけで思い出し泣きモノです。

「少年の純真な心のまま」などと、
登場人物の誰かが言い出しかねない状況が多々あったのに、
(実際、ラスの恋人は、近いニュアンスのことを言ったような…)
この賢明な監督は、
そんなデリカシーのないことは、
積極的には表現しませんでした。
それが“結論”だとしたら、
この映画は相当安っぽくなっていたでしょう。
それだけでも、もっと評価されていい気がします。
本当の意味で「童心に帰る」というのは、
自分の子供の頃の恥ずかしい記憶や古傷たちとも
きっちりと対峙することではないかと思います。

ところで、リリー・トムリンは、ラスの秘書としてこき使われる役でした。
ハイハイと言うことを聞きつつも、口が悪く立場の強い、
ちょうど古参の専属家政婦さんみたいな感じで、
ラスにチクリとやるのも忘れませんが、
コメディエンヌぶりを遺憾なく発揮していています。

ラスの少年時代を演じたのは、スペンサー・ブレスリン。
キッドのほかの出演作は判らないのですが(まだないかも)、
どんくさそうなところが何ともかわいい、丸々とした少年です。
ブルース・ウィリスとは全く似ていませんが、
それでも、この子のおとぼけ表情などを見ていると、
人選に誤りはなかったと思えました。


ユリノキマリ |MAILHomePage