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ちょっとした酔狂から、 (といったら、竹内編集長初めスタッフに申し訳ないのですが) 科学雑誌『NEWTON』の20周年記念号第1弾(7月号)を 買いました。 家から一番近所の書店で、 映画雑誌コーナーの近くにたまたまあったのですが、 まさに目が合ってしまいました。 特集は、4つほどに分かれていたのですが、 そのうちの1つが「洪水」についてでした。
皆さん、洪水ハザードマップってご存じですか? いわゆる洪水避難地図のことですが、 最近、全国各地で作成されていますし、 河川沿川にお住まいの方にはおなじみかもしれませんね。 私が住む郡山市には、阿武隈川という、 その汚染と氾濫にはちょっと定評?のある川が流れていますが、 そんな関係で、 郡山市では比較的ハザードマップ作成への着手が早く、 その上皮肉なことに、 「日本で一番最初にマップが役に立った」市になってしまいました。 というのも、作成したその年の8月、超弩級の豪雨がやってきて、 阿武隈川沿いに住む人々に甚大な被害を及ぼしたのですが、 その際、マップなどの情報をもとに 素早く避難した人が多かったため、 思ったよりも被害が少なく済んだのだそうです。 それが1998年のことでした。 その12年前、1986年の8月にも、 やはり記録的な水害があったのですが、 98年の集中豪雨は、86年より雨量が多かったにもかかわらず、 被害額は86年のときよりも低かったといいますから、 (あくまで数字の上ですが)効果のほどがわかろうというものです。
ところで、私は蟹座生まれなのですが、 モノの本によると、蟹座生まれというのは、 なぜか水辺に住むことが多いのだそうです。 それは海や川というだけでなく、ため池、プール、 時には銭湯なども含むというので、 いかにもこじつけ的ではありますが、 なるほど、私の33年の人生を振り返っても、 海辺、貯水池の近く、銭湯の裏!など、 なぜだか水辺人生でした。 (「海まで五分」なんてドラマ、ありませんでしたっけ? それは1度も見たことはないのですが、 実際私、海まで5分のところに住んでいたこともあります) それでいて水害を被ったことは1度もありません。 86年のときは、国道を1本超えたところは水浸しだったのに、 我が家があった地区はケロっとしていたし、 98年など、一番雨量が多かった日に 映画の試写に行ったほどです(因みに「TAXi」でした)。 ↑さすがにこの日は空席が目立っていましたね……。
たまたまハザードマップ作成のための会議で 仕事をさせていただいたことがあったのですが、 その際、洪水常襲地域で住民アンケートをした ある大学の先生の話が印象に残っています。 「よく、こんな水位になるまでなぜ逃げないかと 不思議に思われるくらい粘っている人がいるが、 いざその場にいると、簡単に 全てをなげうって避難できる人などいないものです」 その結果、逃げ遅れたりする人もいるわけですが、 そうした意味でも、ハザードマップのおかげで 被害をかなり抑えた住民の皆さんはエラかったということですね。
フラッドHard Rain 1998年アメリカ ミカエル・サロモン監督
これが日本で公開されたのは、皮肉にも、 ちょうど日本各地で水害被害が報告されていた頃でした。 実際私がこの映画を見たのって、『TAXi』試写会の約1週間後の やはり試写会だったのですが、 何しろ内容が内容なので、 試写会スポンサーの挨拶が泣かせました。 「この映画のような水害を経験されたばかりの方も、 この中にいらっしゃると思いますが、 今日ここにいらしている方は、 はがき抽選の高倍率を勝ち抜いてきたラッキーな方ばかりなので」 だからまあ、今日は楽しんでくださいということなのですが、 試写会に当選するくらいの「ラッキー」では 救われない被害だったのでは……と思うと、 市の高台でのうのうと暮らしていた自分が、 ちょっと罰当たりに思えました。
集中豪雨とダムの決壊とで、 もう「水没」という言葉がぴったりの状態になった 小さな町が舞台の物語ですが、 そこに現金輸送車襲撃などの事件も加わる、 ちょっと不謹慎な言い方ですが、 サービス精神旺盛なパニック映画でした。 ふだんはこのジャンルを余り見ない私が 試写会に応募したのは、 何といっても、キャストの豪華さが動機です。
現金輸送車を運転する若者がクリスチャン・スレイター、 教会に居座ってステンドグラス修復をする女性が ミニー・ドライバー、 そして強盗団のアタマがモーガン・フリーマンでした。 フリーマンは珍しい悪役ですが、やっぱりあの人には 「ただの悪役」はできないんですよね。 冷静で頭がいい、話せる犯罪者という感じでした。 (考えてみたら、『ショーシャンクの空に』のレッド役だって、 いわば罪を償うために刑務所にいたわけですが、 悪役って感じじゃなかったですね)
この映画にも、なかなか避難勧告に応じない老夫婦が 登場しました。 前の水害のときに、避難した隙に泥棒に入られたから、 てこでも動かない……というわけです。 あの状況下で避難しようとしない方もしない方ですが、 どさくさで泥棒しようというのもいい度胸だと思いました。
ストーリーを云々するタイプの映画ではないので、 トピックスとして、ミニー・ドライバーについてちょいと。 彼女を美人だと思いますか? 私は、彼女ってすごくゴージャスな女性だと思います。 確かにエラは張っているし、体つきは立派過ぎるけれど。 クリス・オドネル、ブラッド・ピット、マット・デイモン、 この映画のスレイター、ルパート・エヴァレットなどなど、 とにかく美形(いや、約1名「異議あり」の人も…)との 共演が多いせいか、 いちいちそのことをあげつらわれるのですが、 いわゆる「美人女優」がハンサムと共演したからって、 敢えて「またも美形と共演」みたいな言い方はしないでしょうが。 特に、私はああいうタイプの顔が好きなせいか、 「美人ではないけれど、実力十分」的に言われてしまうのが、 心外でたまりません。 でも、この映画での彼女の役って、 若くて元気がよければ誰でもOKというのが否めないので、 ちょっと残念でした。
しかしまあ、映画俳優って大変ですね。 あのうんざりするような大水を見ているだけで、 息がとまりそうになりました。 映画史に残る大ヒットを記録した『タイタニック』でも、 実は水嫌いのL.ディカプリオは、撮影で大分苦労したらしいし。
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