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2001年06月11日(月) |
コーリャ 愛のプラハ |
コーリャ 愛のプラハ Kolya 1996年チェコ・イギリス・フランス ヤン・ズヴィエラーク監督
これは本当に、あらゆる映画ファンにお勧めです。 かわいい子役に弱い方、おじいさま俳優に反応しやすい方、 スラブ美女を拝みたい方、音楽好きの方、 とにかく反体制なるものに魅力を感じる方et cetera。
脚本と主演のズディニェク・スヴィエラークは、 80年代、まだ「チェコスロバキア」という国があったころ、 『スゥイート・スゥイート・ビレッジ』という邦題の のほほん系映画の脚本も担当した、 ハートウォーミングな物語が上手な方です。 (といっても、私は2本しか見ていませんし、そもそも日本では、 このほかのものが紹介されているかどうか) のみならず、ショーン・コネリーを彷彿とさせる、 ちょっと険はあるけれども、かっちょいいじい様で、 脚から腰にかけてのラインの美しさにはほれぼれしました。 (とか書くと、まるでゲイの男性になった気分です) 彼が演じたのはロウカという名の楽団員で、 いい年をして生活の安定しないプレイボーイです。
ところで、姓からも身内だろうと見当がつくと思いますが、 この映画を監督したヤン・ズヴィエラークは、 このズディニェクの実の息子さんだか。
タイトルロールでもある「コーリャ」とは、 縁あってロウカの「息子」になる5歳のロシア人の男の子です。 この役は、アンドレイ・ハリモンというロシア出身の少年が はつらつと、しかも健気に見せてくれました。 コーリャ役の選考のため、 スタッフはモスクワ中の幼稚園を回ったとか。 この子のかわいらしさときたら、 子役人気で話題になった映画の中でも屈指といっていいでしょう。
共産主義(社会主義、というべき?)の崩壊といわれた時代が、 ほんの少し前にありました。 ベルリンの壁が壊され、統一ドイツになり、 ソ連邦という大国がなくなって、 今まで何となくわかりにくかった東欧諸国の情報も、 次々と入ってくるようになった時代でした。 そんな背景を少しでも踏まえた方が、 何となく理解しやすい話ではありますが、 もちろん、ひょんなことから親子になった 老人と少年の触れ合いという、 ただそれだけのストーリーとしても、十分堪能できます。
ズディニェク・スヴィエラークが自ら書いた 「原作」の本もお勧めです。 ビデオを見ながら本でストーリーを追っていくと、 何やら語学の授業を受けているような気分も味わえますよ。 ビデオの字幕ではカバーされていなかった、 (劇場では見られなかったので、劇場版はわかりませんが) ロウカのチェコ語とコーリャのロシア語が、 同じ単語でも意味が食い違うというようなことを 逆に生かしたやりとりのシーンがあったのですが、 そんなところも要チェックです。 (原作では、コーリャのしゃべる台詞が太字になっていたり、 なかなか工夫されていました。千野栄一先生万歳!です)
それにしても、サブタイトルの「愛のプラハ」って何でしょ。 本当に意味がない添え物だと思います。
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