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2001年05月19日(土) ぼのぼの

今日5月19日は声優の大塚芳忠さんの誕生日だそうです。
1954年生まれといいますから、47歳ですか。

大塚さんといえば、海外ドラマファンには、
「フルハウス」のダニーパパの声で
特におなじみだと思いますが、
93年制作のアニメ映画『ぼのぼの』で、
スナドリネコ役を担当なさっています。
いつも洞穴でごろごろしていて、何があっても慌てず、
それでいて、主人公ぼのぼののどんな悩みも
「レモンドロップのように」消してしまう、
(『オズの魔法使』見ましたか?
主題歌Over the Rainbowの
この部分の歌詞、好きなんですよ〜)
そういう頼もしい(と見えないところがまたいい)キャラクターです。

ぼのぼの(アニメ)
1993年日本 いがらしみきお監督

いがらしみきお【ぼのぼの】竹書房(続刊中)

まず、この映画の原作「ぼのぼの」を御存じでしょうか?
86年から竹書房の4コマ誌に連載されている、
4コマコミックのカリスマ、いがらしみきおさんの作品です。
コミック本も20巻まで刊行され、絵本も数冊出ています。

また、テレビアニメ化もされ、ビデオも出ています。
1編15分足らずの短編アニメですが、
沖縄民謡を思わせるBGMに乗って、
テンポよく見せてくれていました。

ぼのぼのというのは、主人公のラッコの名前です。
小さな小さな、でもとても大切な疑問をいつも抱きながら生きていて、
ちょっとどんくさいけれども、好ましい少年です。
「いぢめる?」が口癖で、
ちょっと自虐的なところのあるシマリスくんと、
喜怒哀楽の表現がラテン系のアライグマくんが仲良しさんです。
その他、味のある動物キャラクターが多数登場しますが、
単なる動物を擬人化したお話ではなく、
よく表現されるのは、「哲学的だ」ということです。
個人的には、「深いなあ。哲学だなあ」と思いながら読むというより、
大声で笑いながら読んだ後(笑えるまんがですから)、
何だか自分でも説明のつかないことを考えていたりして、
哲学というのは、とことん思考することなんだなあと、
身をもって体験できるところが「哲学的」だと思います。
(哲学というか、禅問答的になってきた気もしますが)

映画版のポイントになっているのは、
ぼのぼのたちが住む場所を、
今まで見たこともないほど大きなジャコウウシが通るらしい。
その牛が通った後、何かが変わるらしい……、
そんなうわさでした。
「何か」が何なのか、確たる結論が出るわけでもなく、
あくまで観客に宿題を残しつつ終わっていきますが、
宿題を拒否する自由も与えてくれたような、
そんな優しい幕切れでした。
そこで、大沢誉志幸の「初恋」という曲がしっとり流れます。

この映画には、ほとんどストーリーというものは存在しない気がします。
といって、もちろんオハナシとして破綻しているわけではありません。
あくまで、「ぼのぼの」でしかあり得ないようなテンポで、
「ぼのぼの」の世界以外では成立しないような文法の中で、
周りを気にせず進んでいきます。

私はこの映画、市民文化センターの大ホールで見ました。
かわいらしいキャラクターのCMが功を奏してか、
場内はちびさんたちでいっぱいになっていました。
(普通は中ホールでも空席が目立つような類の上映会なのに)
かなりベタベタなギャグも多いので、
遠慮のない笑い声が会場に充満していたのが印象的ですが、
彼らの頭の隅っこに、説明できない何かが残ったことだろうと
思いたいと思います。

音楽担当は、ゴンチチでした。
「ぼのぼののテーマ」「アライグマのテーマ」など、
アコースティックで聞いていて安心できる旋律は、
しばしばテレビのバラエティ番組などでも
BGMとして使用されています。

いつもなら、「〇〇な方に」「△△がお好きな方に」お勧め、
というような表現をするところですが、
この映画だけは、見る運命にある人は放っておいても見る、
そんな気がするので、敢えて「お勧め」はしません。
でも、レンタル店のアニメの棚を探してみてください。
一緒にテレビアニメ版を借り、そうなると原作が気になって、
気がついたら古書店で80年代に出た分を探す日々……
というような「ぼのぼのジャンキー」が1人でも増えれば幸いです。
ついでに、竹書房の「まんがくらぶ」は毎月4


ユリノキマリ |MAILHomePage