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1982年の4月17日、大林宣彦監督による「尾道三部作」の 記念すべき第1作「転校生」が公開されました。 ということは、19年前の今日は土曜日だったのですね。 ごくまれに、祝日などが初日という場合もありますし、 一時期あった「金曜日封切り」も、今は話題にすらなっていませんし、 この当時はまあ、土曜日が主流だったでしょう。
転校生 1982年年日本 大林宣彦監督 山中恒【おれがあいつであいつがおれで】旺文社文庫
原作は、その昔テレビ放映されて人気を博した 「あばれはっちゃく」の原作者としても有名な山中恒さんの、 「おれがあいつで、あいつがおれで」でした。 映画化より少し前、講談社刊行の月刊少女マンガ誌「なかよし」で、 当時としてはかなりスタイリッシュな絵柄だったいでまゆみさんが、 「なんとかしなくちゃ!」というタイトルで劇画化していたものを、 結構熱心に読んでいた記憶があります。 だから正直言って、 お目々きらきらで、毎日服をとっかえひっかえしている 主人公に慣れていたせいか( コミックでは「私服の中学校」に通っていました)、 映画の中の小林聡美と尾美としのりが、地味に制服で通学し、 何より2人があの「なごみ系」のお顔なのに、 ちょっと違和感を覚えたものです。
コミックの方で、サイトウカズミ(映画での聡美→としのり)には、 レイフ・ギャレット風ヘアの(古いなあ)美少年の兄が登場しますが、 映画にも、今は亡きロック歌手中川勝彦さん扮する兄が登場しました。 セリフはほとんどなくて、 縁側でスイカ食ってただけかも……という印象が なきにしもあらずなのですが、 1994年9月17日、 白血病のため32歳の若さで亡くなったこの中川さん、 私、結構好きでした。 ただきれいなだけじゃなく、不思議な雰囲気のある人で、 ちょっと変な歌を歌っていたような…… 頭が切れるおもしろい人で、今でいえば及川光博さんあたりと キャラが被るかと思います。 いずれかのファンの方で、 気分を害した方がいらしたら済みません。 私は及川ミッチーも好きです。
ここに書くに当たり、「中川勝彦」で検索したら、 未だにバリバリに機能しているBBSを有するHPを見つけました。 忌日と、一体何歳だったのかも、そのHPで知り得たのですが、 今の私と同じ年齢だったのだなと知り、ある種のショックを受けました。 享年27歳でやはり白血病で亡くなった 女優の夏目雅子さんの年齢を追い越したときにも感じた、 そういう感覚です。 神様も、美しく才能のある方を傍に置いておきたいのでしょう。 「ああいった人たちを創造し、 この世に一時期でも存在させてくれたこと」には 感謝しないでもありませんが、 早々と連れ去るくらいなら、 最初からいない方がよかったのかも、 恨めしくも思います。
長くなりましたが。 未見の方に、ストーリーを障りのない程度に解説すれば、 幼なじみの男女(サイトウカズオとサイトウカズミ)がいまして、 女の子の方は一時期他地に行ってしまったのですが、 その後、また以前住んでいた町の戻ってきまして、 男の子は照れもあり、彼女に邪険にします。 それでも女の子は屈託なく彼にまとわりつき、 石段の上部で揉み合いになっているうちに、 2人は「蒲田行進曲」のヤスよろしく派手に転げ落ちてしまい、 気がつくと、お互いの中身が入れ替わっていたのでした! というところから発生するさまざまな騒動を、 ちょっとスラップスティックに描いていました。
今や三谷幸喜夫人の小林聡美の自転車めちゃ漕ぎなどが印象的で、 尾美君(最近見ませんね)のオカマ演技が何かとかすみがちでしたが、 2人ともすごく頑張っていましたね。 今思うと、大林監督にしては下品な映画だったのですが、 不愉快な下品ではなく、 「まあ、いやあね」と、 にやにやしながら言いたくなるようなタイプです。 (↑男性にも尾美君気分でこんな言い方をしてほしい!)
この映画にまつわる最大の思い出はというと、 高校1年の5月ぐらいだったと思いますが、 体育の時間、なぜかビデオを見ることになったのでした。 いつもの担当教諭A氏が出張のため、 ピンチヒッターのS先生がいらして、 「A先生から、これを見せておけと言われたんだ」 と、1本のソフトを再生機に入れますと、 そこに映し出されたのが、「転校生」でした。
最初は「なんで〜さ」と思いつつ、 まあちょっとラッキーかなと、 そのまま見ていたのですが、 あるシーンで、 S先生が慌ててビデオをストップしてしまいました。 それは、2人の中身が入れ替わった後、 カズオがカズミに電話をかけるシーンでした。 カズオは、 あの男性の第一次性徴であるところの「ノズル」を使って 排尿をしたことがないので(そりゃそうだ)、 し終えた後どうしたらいいかわからず、紙で拭いたと言います。 そこでカズミはこう言い放ちました。 「ばかやろ。二、三遍振り回しときゃいいんだよ。 紙なんか使う奴があるか」 ここで“ぶちっ”でした。 「こ、こんなの見せられるか!」 くらいのことは、おっしゃったかもしれません。 その後のことは覚えていませんが、こわもてのS先生が 真っ赤になっていたのはよく覚えています。
少々カマトト的なことを申しますと、私はこの映画のおかげで、 そうか、男の人は「小」の後には紙って使わないのかと知りました。 こういうことは、保健体育のテストでは出ないので……。 (ちなみに、うちは女子校でした)
ここまで書いておきながら、とってつけたように響くかもしれませんが、 日本映画史に残る傑作青春映画の1本であることも、 ぜひ申し上げたいと思います。
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