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さて、今日は、グレゴリー・ペックの誕生日にして、 「ヘアカットの日」でもあります。 1872年、当時の東京府が発令した、婦女子の断髪禁止令に 因んでいるそうですから、いわば逆記念日でしょうか。 グレゴリー・ペックに婦女子の断髪となれば、 これしかないでしょう。
ローマの休日 Roman Holiday 1953年アメリカ ウィリアム・ワイラー監督
もう、ごらんになった方には説明の要はありますまい。 オーディションで、「ベッドから起き上がるアン王女」は、 恥ずかしげに着衣の乱れを直し、 その初々しい姿が監督のお眼鏡にかなったと言われています。 実際にはそれ以前にも映画出演はあるものの、 新鮮な美しさで世界中に受け入れられた、 オードリーの実質デビュー作でした。 そして、この映画でアカデミー主演女優賞も受賞しています。
私はこの映画を、普通の字幕版ビデオで見ましたが、 何しろTVの洋画吹替全盛時代をくぐってきた作品です。 レッドフォードといったら野沢那智、 モンローといったら向井真理子といった、 タイプキャストもありまして、 オードリー・ヘップバーンの場合、池田昌子さんだとか。 名前でピンと来なかったのですが、 「銀河鉄道999」のメーテル役の人と同じだと知り、 ああ、なるほど美声だわと一応納得したものの、 ヘップバーンはあのちょっと鼻にかかった声も印象に残るので、 どうも想像がつきません。 何度も吹替版をつくられているので、 池田さんとは違うバージョンももちろんありますが、 いずれにしても、見たいような、見たくないようなという感じです。
何ともにぎやかな作品でした。 思い切ってヘアカットし、 くっきりした目鼻立ちがぱっと際立ったシーン、 スペイン広場は、 とうとうアイスクリームの食べ歩きを禁止されるに至るほど、 「アイスクリーム公害」状態になるほどに、 彼女の「ワナビー」族が出てきたとか。 ベスパにタンデムして、大乱闘にはアン王女も加わって、 フライパンという飛び道具をコミカルに使いこなしていました。 グレゴリー・ペックの親友(エディ・アルバート)は ユニークなカメラで彼女を隠し撮りするし、 グレゴリー・ペックは「真実の口」に手を食われるし、 ジャングルの奥地でなくても、存分に冒険していました。
余りにも有名過ぎて、最も好きな映画は何でしょう?と問われると、 案外出てこなくなってしまう作品の1つかもしれませんが、 理屈抜きで楽しめる娯楽作として大切したい1本です。 かく言う私も……正直なところ、ヘップバーン作品なら、 『昼下がりの情事』や『麗しのサブリナ』のように、 ビリー・ワイルダーと組んだものの方が好みなのですが、 (というか、この2本だけかな) ティアラに彩られた彼女の高貴な微笑みは、 やっぱり映画的遺産だと思います。
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