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2001年03月20日(火) |
ドライビングMissデイジー |
毎月20日はマイカーチェックデー。 そこで、車がもう1人の主人公ともいえそうな、 次の作品を選んでみました。
ドライビングMissデイジー Driving Miss Daisy 1989年アメリカ ブルース・ベレスフォード監督
89年度(第62回)オスカー本命視されていた オリバー・ストーンの『7月4日にうまれて』を 蹴落として作品賞を受賞しました(監督賞はO.ストーン)。 ユダヤ系の会員が多いという米アカデミーが、 ユダヤ系の老女が主人公の作品に肩入れしただけ…… みたいな意地の悪い見方があったり、盗作騒ぎがあったりと、 慎ましい小品には似つかわしくない扱いも受けました。
史上最高齢で主演女優賞を受賞したジェシカ・タンディの 高貴な美しさもさることながら、 賞は逸したものの、 「ミス・デイジー」ことJ.タンディの運転手を演じた モーガン・フリーマンも、 力まず、しかも大事なことが伝わってくるような すてきな演技を見せてくれました。
そういえば、以前から思っていたのですが、 モーガン・フリーマンって、実はすごい美人の母親がいて、 顔の上半分だけ似た、みたいな想像をかき立てる、 非常に魅力的な目の持ち主じゃありませんか? (もちろん勝手な想像で、本当のところはよくわかりません) 下半分のがっしりした造りもまたいい感じですが。
裕福なユダヤ人の老女が、自ら運転していた車で 小さな事故を起こしたことをきっかけに、 事業に忙しい彼女の息子(ダン・エイクロイド)が、 1人のトボけた黒人男性を、彼女のもとに運転手として 派遣するところから物語は始まります。 老女は元教師で、金持ちぶって見られるのを嫌う頑固者で、 最初は運転手を受け入れようとしませんでした。 が、結局、車も何度か代替わりをするほど、 何十年も2人で「車でお出かけ」することになります。
「息子」の妻のことを老女は、 「鼻持ちならないWASP(アメリカ社会の最もメジャーどころ)」 だと評しています。美人で、社交的で、高慢で、という人です。
いちいちユダヤ人、黒人、WASPなどと説明くさく書くのは、 そのくらいこの映画に、人種問題を考えさせる エピソードが盛り込まれていたから。 例えば、ちょっと歴史的なことを考えれば、 ユダヤ人がクリスマスを祝うわけはないのですが (同時期に「ハヌカー」と呼ばれる祭礼があるとか) 老女がくどいほどに「これはクリスマスプレゼント なんかじゃないのよ」と言いながら、 文盲の運転手に字の教則本をプレゼントをするシーン。 アアだコウだと説明されるよりも、 照れをいらつきで表現しているように プレゼントを忙しくなく渡す老女の姿を思い出す方が、 日本人には理解しにくい宗教について、 ユダヤ人迫害の歴史について、 考えさせる契機になる気がします。
それでいて、これといった大事件は起こりません。 強いていえば、運転手がちょっと缶詰をつまみ食いしましたが、 「何もそこまで」というような効果音で演出されているのが、 何だか滑稽な感じを与えました。
ストーリーやプロットに感心するというより、 偏に、名優たちの繊細な演技を味わうのに向くと思います。 心優しい、出しゃばらない映画でした。
私がこの映画を見たとき、妊娠5カ月でした。 次女のときは、ほぼ同週数のころに、 ひょんなことから、浅野忠信主演の 『地雷を踏んだらサヨウナラ』を見てしまいました。 これはこれでお勧めの秀作でしたが、 おっとりした長女に対し、次女の方は、 8カ月にして立派なやんちゃ者です。 妊娠中に見る映画は選ぶべきですね。
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