永遠の子供 - 2002年05月01日(水) かとっちゃんは 体は大人だけど 友達だった 優しくて 穏やかで いつもにこにこしてて 女の子は ランドセルを置いて すぐに飛び出して 近所の男の子 女の子たちと 一緒に かとっちゃん 誘って かくれんぼやおいかけっこ色鬼高鬼陣取り 兵隊さんが通るに花一匁にカゴメカゴメ 日が暮れて くたくたになるまで遊んだ 言葉なんかなくても十分楽しくて それでも 時は経つ やがて 女の子は少女へと 男の子は少年へと変わっていく でも かとっちゃんは 大人にはならない 少年に 少女に なった子供たちは 変わること無く汚れを知らない心を持ったままの 彼といる事に 少しずつ飽きはじめる そして いつしか 思春期という名の別の世界の扉を開ける 時が経つ 夢中で気が付かないほど早く やがて ふと 立ち止まる いつも かとっちゃんが立ってたはずの旧道 この道を通ったのはどれくらい前のこと にこにこと 優しい笑みを湛えて ここで帰りを待ってくれてた彼 永遠に 大きくならない彼 一緒に遊んだ友達が ランドセルを 革の学生鞄に持ち替えて 白いソックスに プリーツのスカート スカーフを結んで セーラーの襟をはためかせて 新しい自転車の ペダルをこいで新道を通り過ぎる どんな気持ちで彼はここで待っていたんだろう どんな気持ちで彼はここで待ち続けていたんだろう でも かとっちゃんは 大人にはならない 「小さな女の子に 悪戯をしようとしたんだ」 そんな噂が 実しやかに囁かれる 古くて小さな田舎の路地 でも 昔 かとっちゃんと友達だった 少女から女になった彼女は知っていた 悪戯なんかじゃない かとっちゃんは 大人には見えない何かから 小さな友達を守ろうとしただけ だけど 彼は 格子がついてる窓がある部屋ばかりの建物に入れられた どんな気持ちで彼はそこで待っていたんだろう どんな気持ちで彼はそこで待ち続けていたんだろう あまりにも 綺麗な子供の心を持ち続けてたせいで 神様に愛されすぎて 誰より早く 傍に呼ばれたんだね 時が経ち 形ばかり大きくなったあたしは 薄汚れた心を抱えて いつになったら かとっちゃんのとこに行けるんだろう また にこにこと 優しい笑みを湛えて 待ってくれてるかな そこで 永遠に 大きくならないあなたを 今度は 誰も責めたりしないよ -
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